三越最後の日、熱心にビデオ取材 天久小5年の中村君


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沖縄三越閉店の日を熱心に取材する天久小5年の中村航大君=21日午後7時半、那覇市牧志の沖縄三越前

 那覇市牧志の沖縄三越が閉店した21日、最後の営業日を熱心に取材する同市立天久小学校5年の中村航大(こうた)君(10)の姿があった。「今、57年間の時間に赤い幕を降ろそうとしています。僕としてはさっき、売り上げが上がって閉店しないようになればいいのにと家族と話していましたが…」など達者な口調で中継しながら歴史の1日を収めようと、中村君は熱心にビデオカメラを回していた。

 友人と4人でニュース会社アメテレを“運営”し、朝昼に校内放送する。沖縄三越閉店の模様はDVDにまとめ、学友らに伝えられる。21日はファミリーレストランなどのある最上階から地下の食料品売り場までを巡り、各階の模様をビデオに収録し、閉店後の杉山潤治社長の玄関前あいさつまで丹念に記録した。
 午後7時、杉山社長の最後のあいさつを待つ人並みは玄関前から国際通りをまたいで数百人に及んだ。なじみの三越の紙袋を大量に抱えた最後の客が退店したのは、閉店予定の午後7時を40分も過ぎてからだった。
 中村君は「蛍の光が流れているのにまだ中に人がいるようです。どれだけ愛の詰まった建物なのでしょう」と生中継さながらの口ぶりで、臨場感を伝えた。
 中村君は「僕はまだ10年しか生きていないが、57年まるまる常連として通っていたら、思い出がたくさん詰まっているのだろう。閉店と聞き、そういった様子をぜひ取材したいと思った」と笑顔で話した。