台風強度 精密に予測 伊藤琉大助教ら計算モデルを開発


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 琉球大学理学部の伊藤耕介助教らが、台風の強度を予測する新たな計算の仕組み「高解像度大気海洋結合モデル」を開発した。従来は考慮されていなかった海水温の変化をプログラムに組み込んだことで、従来モデルに比べ予測誤差が最大40%縮小した。

 台風のエネルギー源は、暖かい海上で蒸発した水蒸気が上空で雲や雨に変わる際に生じる熱。よって、台風近くの海水温を考慮することは強度の予測に欠かせないと言われてきた。しかし、大気と海水の状態を同時に計算し予測に反映させるには多くのコンピューターを必要とするため限定的な研究にとどまっていた。
 今回、琉球大学は、海洋研究開発機構、気象研究所と共に、台風の雲の状況など内部構造を再現できる「気象庁非静力学モデル」に、海水温の状態を考慮できるモデルを結合した「高解像度大気海洋結合モデル」を開発し、スーパーコンピューター「京」を使って計算した。
 この結合モデルで、2009年4月から12年9月の間に日本の周辺を通過した全ての台風を対象にシミュレーションした結果、既存の予測モデルに比べ中心気圧は2日予報で20~30%、3日予報で30~40%、最大風速は2日予報で10~20%、3日予報で20~30%誤差が縮小した。
 伊藤助教は「沖縄は台風の重要な研究拠点となる地域なので、今後も積極的にシステムの開発を進めていきたい」と話した。