知念正真さん追悼 演劇「人類館」上演へ


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「人類館」の稽古をする(左から)小嶺和佳子さん、当銘由亮さん、花城清長さん=7日、うるま市の稽古場

 【沖縄】昨年9月に死去した沖縄市出身の劇作家・知念正真さんを追悼しようと、演劇集団「創造」は11月9日午後2時と同6時半から、知念さんの代表作「人類館」を沖縄市民小劇場あしびなーで上演する。沖縄市制施行40周年記念事業の一環。

演出の幸喜良秀さん(76)は「初演から38年たったが、(劇で描かれる)沖縄への差別と偏見は変わっていない」と指摘し、「したたかに時代を生き抜いたウチナーンチュの強さを伝えたい」と話している。
 「人類館」は1903年、大阪の内国勧業博覧会で沖縄の女性らが“展示”された「人類館事件」を題材とする。方言札や沖縄戦なども織り交ぜ、幸喜さんいわく「沖縄に対する偏見や差別を笑い飛ばす」作品だ。76年に初演され、78年に岸田戯曲賞を受賞した。
 知念さんはほかにも創造の脚本・演出を数多く手掛けた。創造の上江洲朝男代表(53)は「口数が少なく(演技が不満だと)『違う』と一言だけ言って帰る。役者に出口を探させる人だった」と振り返る。
 今回の出演者は当銘由亮さん(47)、花城清長さん(57)、小嶺和佳子さん(45)。それぞれが場面の変化に応じ、何役も演じる。上江洲代表は「戯曲は舞台にのせて初めて意味を持つ。若い人に伝承されるといい」と話した。
 問い合わせは沖縄市文化観光課(電話)098(929)0261。