論文初投稿で新人賞 名桜大のクックルマン助教


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日本アメリカ文学会新人賞を受賞したクックルマンさん(右)と山里勝己学長=21日、名護市

 【名護】名桜大学で英文学を教える助教のメーガン・クックルマンさん(33)の研究論文がこのほど、若手研究者に与えられる第5回日本アメリカ文学会新人賞に選ばれた。4日に北海道であった第53回同学会全国大会で表彰された。

米国カンザス大学の博士課程を修了後、昨年10月から名桜大で教壇に立つクックルマンさんは「驚いた。身に余る光栄です」と謙虚に喜んだ。若手研究者の快挙に山里勝己学長は「受賞は大学の誇り。優秀な学者の研究から学ぶ学生は幸せだ」とたたえた。
 論文は2014年度の機関誌「アメリカ文学研究」に初投稿した「Metonymy,Revolution,and the Eidetic Reduction in Lyn Hejinian’s My Life」(米国の女性現代詩人リン・ヘジニアン氏の著書「マイ・ライフ」における換喩(かんゆ)と革命の現象学)。ヘジニアンが人生を表現した散文詩の行間に、読者自身の人生を重ね合わせることで、作品に新しい想像を生み出すことができることを研究した。同学会の編集委員を務めた経験がある山里学長は初投稿で新人賞を受賞することは「なかなかない」という。
 クックルマンさんは子どものころから詩に夢中で、高校教諭の助言で詩の世界を広げた。時代に対する反逆的、革命的な考えを表現する詩人の中でもヘジニアンについて「最も美しいものを感じさせる」と評する。その上で「彼女について論文を書かないといけないと思った」と動機を語る。その詩人の論文で受賞したことに「日本にヘジニアンを紹介できてうれしい」と笑顔を見せた。
 受賞を機に研究意欲に燃えている。「一つの言葉を時間をかけて多角的に検討することで、読み慣れた詩が新しく見えてくる。沖縄から米国を見ることで、米国文学の新しい側面を発見できる」。名桜大専任となり約1年。沖縄の地から新たな可能性を見いだしている。