復帰前の軍雇用記録、米が保管か 石綿問題救済へ力


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 沖縄が日本に復帰する前の米軍基地の「軍雇用員カード」のうち所在不明となっている1967~72年に発行したカードが、米国の国立人事記録センターに保管されている可能性があることが分かった。67~72年は復帰直前の大量解雇があった時期のため、全駐労は、アスベスト(石綿)救済に必要な石綿作業経歴などを証明できる対象者が多いと推定している。

 米軍への照会で回答を得た防衛省が団体交渉の中で全駐労へ報告し、全駐労沖縄地区本部の定期大会で25日、組合員に報告された。
 防衛省から全駐労への報告によると、1952年以降に、米国政府の下で軍人以外のシビリアンとして勤務した個人の人事記録は人事記録センターへ保管されている。復帰前に県内基地を退職した者も保管されている可能性があるという。
 防衛省は全駐労に対し「個人情報保護のため、原則として開示には本人同意が必要」と伝えた。その上で同省は厚労省や全駐労と連携し、石綿救済への活用法を模索したい考えを示した。
 全駐労は67~72年のカードに関し「例えば30代で解雇された者は現在70代で、対象者は少なくない」と防衛省へ伝え、活用へ協力を求めた。
 復帰前に県内基地従業員から離職した者には石綿救済制度が周知されず、潜在的な被害者が多いと想定されている。当時の人事記録があれば、石綿作業経歴の証明に活用することなどが期待されている。
 同カードのうち、1946~66年に発行された約20万枚は県立公文書館で保管されており、電子データ化を進めている。