アグー飼育復活 渡嘉敷で45年ぶり


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渡嘉敷島で45年ぶりに飼育が復活した黒豚=22日、渡嘉敷村渡嘉敷区恩納原

 【渡嘉敷】渡嘉敷村で45年ぶりに琉球在来豚「黒豚」(アグー)の飼育が復活した。渡嘉敷島が国立公園に指定されたのを機に、同村の「ゆめ島とかしき振興会」(當山清林代表取締役)が、多くの観光客に島の自然とともに島豚グルメを堪能してもらおうと6~7月から飼育を始めた。

 島内で豚の飼育販売は35年ほど前に途絶え、その後、豚肉は本島から仕入れている。
 母豚2頭、子豚20頭を本島の業者から購入、現在、渡嘉敷区恩納原の原野約3300平方メートルの山裾斜面を利用し、放し飼いで飼育。フィリピンの農業研修生3人らが手伝っている。
 當山代表は稲作農業も営んでおり、餌にもこだわりを見せる。無農薬で生産している黒米、白米の玄米や野菜、イモ、海藻などを混ぜた食材を取り入れて育てている。
 豚は山の斜面などを駆け回る放し飼いのため、身が引き締まった良質な肉質になるという。行政などの協力を得て、島内で豚を食肉解体販売できる準備を進めたいとしている。
 當山代表は「ヨーロッパ産のイベリコ豚を超える島豚にしたい。島産豚グルメとして多くの観光客に賞味いただき、リピーター客を増やすとともに、若者の雇用拡大を図りたい」と意気込んでいる。(米田英明通信員)