山田實さん作品、東京都写真美術館に収蔵


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東京都写真美術館に、自身の作品30点が収蔵されることが決まった山田實さん=那覇市東町

 1950年代から沖縄の人たちの暮らしを撮影してきた写真家・山田實さん(96)=那覇市=の写真30点が、東京都写真美術館に収蔵されることが2日までに決まった。県出身者によって撮影された県内の作品が収められるのは初めてとみられる。

山田さんは「こんなに名誉なことはない。うれしく思う」と話している。
 収蔵された作品は、1950年から75年ごろまでに山田さんが県内各地で撮影したモノクロの写真。子どもたちが遊ぶ様子や、釣り具を操る老人、那覇市内の街並み、地域の祭りなど生活に密着した作品が中心という。都写真美術館の石田哲朗学芸員は「個人的な視点で日常の光景を捉えており、親近感を持って見ている人に伝わるものがある」と話している。
 収蔵は、2年前に北海道東川町で行われた国際写真フェスティバルで、山田さんの作品が石田学芸員の目に留まったことがきっかけという。
 山田さんは米軍占領下当時、県外に行くと沖縄の実情が伝わっていないことに気付き、那覇をはじめ中北部に出向き、50年代から各地を撮影してきた。「今撮っておかなければという思いだった。認めていただきうれしく思う」と話した。
 県写真協会の金城幸彦会長は「沖縄初ではないか。県内の写真界の重鎮である山田先生の、写真に対するいちずな思いが伝わったのではないか」と語った。
 同館は改修工事中で、2016年秋にリニューアルオープンする予定。山田さんの作品展示は、現在は未定という。