那覇空港の航空機整備施設に遅れ 補償費で調整難航


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航空機整備施設整備事業

 県が那覇空港内の航空自衛隊基地の一部を活用し、建設を計画している航空機整備施設整備事業で、基地機能の移転補償費負担をめぐって、県が防衛省、国土交通省と折り合いがつかず、事業が計画より大幅に遅れていることが3日、分かった。

整備施設用地は、空自の地対空誘導弾パトリオットの配備地の一部で、県は整備施設にかかる部分のみとしているのに対し、防衛省は配備地全体の補償費を要求。また国交省との間でも、国が整備する部分の補償費負担について合意に至っていない。
 県によると、昨年3月時点で、建設予定地内のパトリオットを基地内の別の場所に移動し、県が工作物の撤去と土地造成を負担することで防衛省と合意。機能移転費については触れていなかった。しかし、8月に入り、防衛省から基地全体の移設費や新たな用地での整備費を含む補償費の負担を求められたという。
 防衛省施設整備課の担当者は、全体の補償費要求について「一部を返還しても運用上都合が悪い場合もあり、(関連装備を)まとめて動かさないと支障が生じる可能性もある」と主張ししている。移転補償費は、パトリオット配備地全体なら数十億円に上るとみられる。
 また、県は整備施設に伴う駐機場を整備する国交省に対し、駐機場予定地の移転補償費の負担を求めているが、合意に至っていない。
 当初計画では2015年度中の完成を目指し、14年度予算では工事費など約47億8100万円を計上した。県は昨年11月に実施設計を終えたが、用地交渉が難航して着工に至らず、15年度予算に約46億3千万円を繰り越し、今議会に提案している。事業費は一括交付金で、繰り越しには内閣府の了解も必要となる。
 県の担当者は「駐機場は国交省が管理する空港の基本施設であり、県がその分まで移転補償を負担するのはつじつまが合わない」と主張。「応分の負担について粘り強く交渉していきたい」とした。下地明和商工労働部長は「早急に解決できることを期待したい」と述べた。3日の県議会一般質問で翁長政俊氏(自民)の質問で明らかになった。