「戦争は悪だ」 俳人・金子兜太さん強調 琉球フォーラム


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トラック島での戦争体験を語る金子兜太さん=11日、那覇市のホテルロイヤルオリオン

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社社長)の3月定例会が11日、那覇市のホテルロイヤルオリオンで開かれた。俳人の金子兜太(とうた)さん(95)が「俳句と戦争」と題して講演。南洋のトラック島での戦争体験を語り「戦争は悪だ。絶対にやってはいけない」と強調した。

 金子さんは補給路を断たれたトラック島で、沖縄出身者が持ち込んだイモを育てたがうまくいかず、飢餓状態で軍属が次々と死んだことについて「荒くれの工員たちがどんどん痩せ、仏様のような顔をして死んだ」と話した。一方で戦況が悪化する前は軍人、軍属が入り交じって俳句を詠む句会も開いた。「けんかばかりの陸軍と海軍、それに軍人でもないただの男たちも一緒になって俳句を詠んだのは、太平洋戦争でこの時だけだろう」と話した。
 戦後は米軍の捕虜となり日本へ戻った。「俳句なんて甘っちょろいものはやめなきゃいかんと思ったが、やめられない。歩けば(句が)できる、くしゃみをすればできる。日本に戻るまでに200句余ができ、持ち帰った」と俳句への情熱を語った。