東アジア共同体「沖縄に本部を」 ガルトゥング氏がメッセージ


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ヨハン・ガルトゥング氏

 【東京】「平和学の父」として世界的に知られるヨハン・ガルトゥング氏が20日までに沖縄県民へのメッセージを寄せた。東アジアの平和構築に向け、EUのような共同体の創設を提唱し、「東アジア共同体の本部機関を沖縄に置くべきだ」と述べた。ガルトゥング氏は沖縄などで講演するため来日し、19日に都内で講演した。

 安倍政権が進める安保法制が沖縄に与える影響について「日米が多くの基地を押し付けることにより、戦時に沖縄を犠牲にする。沖縄の人々は危険にさらされている」と指摘した。
 東アジア共同体の枠組みとして日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮などを挙げ「本部は東京や北京でない方がいい。特別の使命を与えられた場所として沖縄に本部を置きたい」と述べた。
 安保法制について「米軍と世界のどこでもスクラムを組んで戦うことになり、さらに不安になる」と述べ、「日本が集団的自衛権を行使すれば、日本が攻撃対象になる」と警鐘を鳴らした。
 ガルトゥング氏は従来の平和の概念を進めて、貧困や抑圧、差別などの「構造的暴力」がない状態を「積極的平和」と名付け提唱する。安倍晋三首相が「積極的平和主義」を唱えることには「あまりにも懸け離れている。軍拡ではなく、近隣諸国と協力関係を持ち、調和をつくり上げるべきだ」と強調した。
 日本の平和運動に対し「憲法9条を安眠枕としてきた」と課題を挙げ、「安保反対と言うだけで問題は解決しない。私なら安保に触れず米軍基地を少しずつ減らす、あるいは平和政策を打ち出すだろう」と述べた。