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アカショウビン、命の輝き伝え 親子ら亡きがら観察、学ぶ機会に 沖永良部


アカショウビン、命の輝き伝え 親子ら亡きがら観察、学ぶ機会に 沖永良部 アカショウビンの亡きがらを囲む親子ら=9月16日、和泊町根折の和泊町研修センター
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 【沖永良部】9月16日朝、和泊町研修センター(同町根折)の玄関にリュウキュウアカショウビンの亡きがらがあるのを、同センター職員の桂玲子さんが発見した。桂さんが知人親子に声かけし、大人12人、子ども7人が同センターに来館した。悲しい出来事に終わらせず、自然の生き物を観察して学ぶ機会にしていた。

 桂さんは「明け方に鳴き声を聞くが、姿をじっくり見るのは生まれて初めて」と驚いた。すぐに埋葬するよりも、少しでも子どもたちが観察する場を設けられたら、と思い立ったという。「あるお父さんの『こうして(羽根が雨粒を)はじくから遠くまで飛べる』という説明に、子どもが感心している様子が印象的だった」と振り返る。

 朝尾幸恵さんは「怖くて来るのを迷ったが、どうしても見たいという息子に根負けした。いつもは昆虫も触れない子がビニール手袋越しに羽根を触っていて驚いた」と話す。

 桂さんは「怖がる子はおらず、日記に書くという声もあった。図鑑では見られない本物の輝きを見て、子どもたちの胸に何かが刻まれる瞬間をそばで感じることができた」と話した。

月桃の葉に乗せられたアカショウビンの亡きがら=9月16日、和泊町根折の和泊町研修センター

 リュウキュウアカショウビンはその後、研究のため偶然、同センターを訪れていた琉球大学医学部4年で動物生態学研究室に所属する古川瑠希さんを通じ、同研究室に送られた。

 古川さんは「研究室ではアカショウビンの食性を調べており、胃の内容物を分析した後、剝製を作る予定だ。研究室では鳥類の死体を引き受けているので、今回のような事故で処遇に困った場合は相談してほしい」と呼びかけた。

 (ネルソン水嶋通信員)