【糸満】「いとまん共助を育むまちづくりシンポジウム」(糸満市など主催)が11月27日、同市のシャボン玉石けんくくる糸満で開催された。市が進める共助の町づくりの実現に向けて、一般社団法人プロモーションうるまの中村薫代表理事と、東日本大震災語り部の糸日谷(いとひや)美奈子さんが基調講演した。
シンポジウムは、共助の拠点として市が計画する旧南部病院跡地整備に、要配慮者の視点を反映させる目的で開催された。
うるま市で地域づくりに取り組む中村氏は、今後の人口減少社会では多世代の交流による共助が不可欠だと指摘。農水産直売所「うるマルシェ」の歴史探索ツアーなどの取り組みを紹介し、多世代が交流する仕組みの必要性を伝えた。
糸日谷さんは、東日本大震災時に教員として勤務していた岩手県の釜石東中学校で、生徒や近隣の小学生の多くが自主避難して助かった経験を語った。
震災前から取り組んでいた防災教育で、(1)自分の命は自分で守る(2)助けられる人から助ける人へ(3)学んだことを地域に伝えるーの3点が合言葉だったことや、震災後、中学生が避難所運営に協力したことを紹介。「『釜石の奇跡』と報じられたが奇跡ではない。高齢者ら助けられなかった命もあった。もっとできることがあったと今も後悔する。何をすべきか平時のうちに学んでほしい」と語った。
沖縄女子短期大学の学生による課題発表「子どもや女性らの安心安全な避難所について」もあった。 (岩切美穂)
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要配慮者の視点 町づくりに/旧南部病院跡地整備/多世代の交流必要
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琉球新報朝刊