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沖縄とニューカレドニアの友好(下)/異国の地で多くの親族交流/3世を中心に深まった絆


沖縄とニューカレドニアの友好(下)/異国の地で多くの親族交流/3世を中心に深まった絆 親交を深める沖縄ニューカレドニア友好協会会長の座安孝明さんや親族ら
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2023年3月に一新したニューカレドニア沖縄日系人会は昨年9月2日、トントゥータ空港で沖縄からの訪問団26人を迎えた。各地から多くの親族や関係者が駆けつけた。訪問団は沖縄とゆかりの深い北部東海岸ポワンディミエ、ニッケル鉱山と運搬船の港があるチオ、南部の首都ヌメアなどを訪れる日程だった。
 ポワンディミエのネバオには「沖縄の家」があり県系人のよりどころとなっている。県系人が多いこの地では町をあげて訪問団を歓迎した。その様子はメディアでも取り上げられた。この町で県系人として知られる、ウイチ家の親戚・仲村留美子さんは「ここはニッケル鉱山で働きに来た1世が住み、家族を築いた重要な地だ。そのことを忘れず交流を続けるために来た」と話した。新会長のジャン・フランソワ比嘉さんは「親戚との絆を築くことは感動的だ」と言った。今回、父親を伴って訪れた末吉真也さんは「本当かと思うほど、見渡す限り親戚でいっぱいの歓迎会だった」と振り返る。
 小さな村チオには鉱山を望む山の麓に「日本人墓地」があり、沖縄県出身の鉱夫の墓が多い。沖縄の人の設計による記念碑も立つ。この墓地は村で管理されている。
 首都ヌメアでは日本親善協会が訪問団を迎えた。同協会は戦後に結成した日系人の会で、主にポワンディミエで活動する沖縄日系人会と協力関係にある。日本領事館の領事たちも招待され歓迎会が開かれた。ヌメアに親戚がいる沖縄ニューカレドニア友好協会会長の座安孝明さんは、初めてこの地を踏んだ。親戚はニューカレドニアだけでなくタヒチからも会いに来た。
 ヌメアのラペルーズ高校では映画「まぶいぐみ ニューカレドニア引き裂かれた移民史」が上映され、監督や歴史の証人たちとの交流も行われた。首都に住む高校生にも自国の歴史として関心を持たれた。
 今回の訪問は世代が2世から3世中心になったこと、深まった絆が確認できたこと、交流の未来への道筋を探す試みが行われたことなどが顕著だった。
 (山田由美子ニューカレドニア通信員)