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悩み共有し苦手克服 30代女性 IT技術習得で収入増


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ひとり親の雇用や収入増加を支えるための技能を身につける講座を開く行政や企業、団体などが広がっている。一方、今回のアンケートで「受講して収入が増えた」と答えた人は6%(12人)にとどまった。そんな中、県内に住むシングルマザーの女性(39)は、デジタル関連の講座を最後まで受講し、収入も増えたという。女性は取材に対し「元々、デジタルは苦手分野だった」と明かしつつ、結果につなげた体験を語った。
 女性は約3年前に離婚し、6歳の長男を育てる。約10年、エステやマッサージに関する仕事をしてきたが、コロナ禍の時期に利用客が減り、収入も落ち込んだ。「状況が変わっても働けるスキルを身につけたい」と考え、プログラミングやデザインを習得する複数の講座を受講した。パソコンを使う仕事はほとんど経験がなく「知らないことだらけ。習っても仕事へつなげることが難しかった」と振り返る。
 転機は、しんぐるまざあず・ふぉーらむが企業と協力し取り組むデジタル関連の講座を受講したこと。この講座は、同じシングルマザーの受講生らと週1回、学んでいる現状や悩みなどを共有できる場があり、最後まで続ける動機づけになった。受講後、仕事の紹介もあり、就業につなげることができたという。
 仕事は、大手コンサルティング企業の社員の業務支援。オンライン会議の議事録作成や、社員が職場の設備を使用する際の管理などを在宅勤務で週3回担い、月給は約15万円。今も週3回行うエステの仕事の収入を加えると月収25万円となる。収入が安定し、一戸建ての自宅を購入するための住宅ローンも銀行で組めるようになった。
 女性は多くの講座を受けてきた中で「失敗してもやり続け、自分に合った講座、仕事と出合えた」と話す。情報の入手先として、しんぐるまざあず・ふぉーらむのメールマガジンや、ユーチューブ、インターネットなども挙げる。「自分が興味を持てそうなことを探してほしい」と呼びかけた。 
  (古堅一樹)