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厳しさ「コロナ禍より今が」 40代女性 フリーランス、仕事激減


厳しさ「コロナ禍より今が」 40代女性 フリーランス、仕事激減 フリーランスとして働く女性。さまざまな仕事を掛け持ちして働くが生活は厳しい=6日、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「コロナの時期はみんな苦しかった。今はまるで取り残されたかのようだ」。パフォーマンス業やインストラクターの仕事で長年生計を立ててきた40代女性=那覇市=はため息をつく。コロナ禍で仕事が激減した今、仕事で得る収入は5万円以下。つながりが重要な業界のため、お金にならない仕事も多い。わずかな貯金を切り崩しながら中学生の娘を育てる自身について「世の中の最底辺にいるようだ」と嘆く。
 女性は元夫と娘とともに10年ほど前に沖縄に移住した。その後離婚し、以来娘と2人で暮らしている。フリーランスとしてさまざまな活動をしてきた女性の生活はコロナ禍で一変した。関わってきたイベントは軒並み中止となり、インストラクターとして働いていたヨガスタジオも休業してしまった。
 定期的な収入を失った女性は、自身で集客したヨガレッスン、パフォーマンスの有料配信、知人から依頼を受けたアルバイトなどの収入に加え、各種給付金や支援団体からの食料品で生活をつないだ。
 コロナ禍が一段落し、経済活動は復調傾向にあるものの、中断したイベントは再開せず、今も仕事は戻っていない。自粛中、実施していた有料配信も娯楽が増えた今では需要がなくなった。住宅確保給付金などの公的支援はなくなり、生活はより厳しくなった。
 美容にお金をかけず、自身の食事を抜くこともある。娘にはできるだけ我慢させたくないと、部活や習い事の制限はしないが、出費は重くのしかかる。昼間の仕事に加え、夜も働きに出る日があるが、物価高に収入が追いつかない。コロナ禍で受け取った給付金や食料を少しずつ切り崩し、何とかしのぐ日々だ。
 「あと数カ月で貯金も底をつく。コロナ禍より今のほうが先が見えない。現金支給、最低賃金を上げる対策をしてほしい」と話した。(熊谷樹)