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定年の恩師に感謝 100人集う 長嶺中校長・與那覇さん激励会


定年の恩師に感謝 100人集う 長嶺中校長・與那覇さん激励会 3月末に役職定年を迎える與那覇正樹さんに感謝の言葉を伝えようと集まった教え子たち=11日、那覇市牧志の「BAR PLACE」
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 【豊見城】3月末で役職定年を迎える豊見城市立長嶺中学校校長の與那覇正樹さん(60)に感謝を伝えようと、教え子たちが集結した。11日、那覇市牧志の「BAR PLACE」で與那覇さんが赴任していた豊見城市の伊良波、豊見城、南城市の大里の3中学の卒業生有志による退職激励会が開かれ、教え子約100人が集まった。教え子は與那覇さんと思春期だった中学時代を振り返りながら、恩師への感謝の言葉をつづった。
 與那覇さんは1991年に採用されて以来、社会科の教員として、学級担任のほか、生徒指導や野球部の顧問を長く務めてきた。野球部時代はチームを何度も県大会の上位入賞に導き、自身も数々の表彰を受けてきた。與那覇さんは激励会の開催について「教師冥利(みょうり)に尽きる。子どもたちのおかげで今のわたしがいる」と目を細める。
 激励会は、伊良波中19期生で、野球部に所属していた波平邦秀さん(34)を中心に昨年10月に3中学の教え子7人で事務局を立ち上げ、準備を進めてきた。現在、石垣市立白保中学校で保健体育の教員と野球部顧問を務める波平さんにとって與那覇さんは人生の道しるべだ。「與那覇先生は生徒一人一人と向き合う人で、人生の中で大切なことを教わった」と振り返る。
 豊見城中OBで野球部員だった高良昌樹さん(37)は兄弟3人全員が與那覇さんの指導を受けた。「先生は僕たちの親世代からも尊敬されている。そして先生から何度も言われてきた『素直に謙虚に感謝の気持ちを持て』の言葉を今も忘れずに実践できるよう頑張っている」と語った。
 與那覇さんが学級担任として受け持った最後の教え子である赤嶺真由さん(30)は今でも定期的に交流を続けている。「思春期だった中学時代、部活の人間関係で悩んでいたところを先生が気に掛けてくれて相談にのってもらった」と感謝の言葉を口にした。
 激励会には長嶺中に子どもを通わせている徳元次人豊見城市長もサプライズで登場した。「これだけの教え子が集まるのは與那覇先生の人望のたまものだ」とたたえた。
 教え子から花束や記念品を受け取った與那覇さんは教え子たちに「年を重ねると人との差が大きくなっていると感じるようになる。しかし、そこでねたんではいけない。人と比べることなく自分らしく生きることが大切だ。自分を、そして周りを大切にいい人生を送ってほしい」と、一教員として最後の言葉を贈った。 (吉田健一)