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一門集い旧正ウビナディー うるま・平安座 伝統行事で絆深め


一門集い旧正ウビナディー うるま・平安座 伝統行事で絆深め 一門で子孫繁栄などを祈願するウビナディー=12日、うるま市平安座
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 【うるま】多くの伝統行事が残るうるま市平安座で旧正月関連のウビナディーが12日、厳かに執り行われた。ウビナディーは旧正月3日目に、一門ごとに行われる神聖な行事。平安座には現在約20の一門があるといわれる。
 この日、琉球の歌謡集「おもろそうし」で尚真王にささげようと謡われた、島の中腹にあるユサジガーを各一門が次々に訪れ、五穀の産物を供え、黒線香をたいた。その後、くんだ水を入れた器に中指を浸して額を3回なでる呪法で子孫繁栄、無病息災、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。
 若水や産湯も採る島一番の聖水とされる井泉。赤瓦で整備されたその井泉前では、平安座郷友会連合会長でシンガーソングライターの海勢頭豊さん(80)が一門を出迎え「いい正月でーびる」と和やかにあいさつを交わしていた。
 各一門はさらに先祖ゆかりの井泉を回った後、本家でこの1年間の近況を報告し合い、談笑でひと時を楽しんだ。
 県内各地の伝統行事は生活様式の変化で簡素化され、一門の絆も希薄化しつつある。その中で川上一門として3人の子どもと参加した宜野湾市の大嶺まどかさん(37)は「私たちは先祖の命をつないできている。伝統行事を大切にしていきたい」と話していた。 (岸本健通信員)