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「集団自決」の悲劇学ぶ 渡嘉敷 徳島大の学生ら、戦跡碑巡る


「集団自決」の悲劇学ぶ 渡嘉敷 徳島大の学生ら、戦跡碑巡る ゼミの一環で渡嘉敷村の沖縄戦などを学んだ徳島大学の3~4年生と餐場和彦教授(前列右端)=2月21日、渡嘉敷村の集団自決跡地の慰霊碑
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 【渡嘉敷】沖縄戦と沖縄の基地問題などを学ぼうと、徳島大学総合科学部の餐場(あいば)和彦教授(政治学、国際安全保障、ジャーナリズム)の国際政治学ゼミの3~4年生ら11人が2月18日から、3泊4日で沖縄を訪れた。21日は渡嘉敷村を日帰りで訪れ、現地の平和ガイドの案内で戦跡碑や景勝地などを巡り「集団自決」(強制集団死)などの沖縄戦の歴史を学ぶとともに、島の自然も満喫した。
 一行は、「集団自決跡地」「日本軍赤松隊本部壕」「白玉之塔」「日本軍海上特攻艇秘匿壕」「アリラン慰霊のモニュメント」などの戦跡碑などを見学した。
 1944年9月から、渡嘉敷村へ特攻艇基地構築のため日本軍や朝鮮人軍夫が駐屯した。45年3月26日に米軍が座間味村に上陸し沖縄戦が始まると、当日に座間味村、28日に渡嘉敷村で「集団自決」が起きた。これらの悲劇の説明にメモを取りながら熱心に耳を傾け、戦争の悲惨さ、平和と命の尊さなどを学んだ。
 本島巡りでは、県のガイドの案内で米軍基地などを見学し、沖縄が抱えている基地問題や基地の疑問、沖縄と米軍基地の歴史的側面、日米地位協定、米軍基地と沖縄県の経済、財政、辺野古新基地建設問題(普天間飛行場移設問題)や南部戦跡などを見学し、沖縄への理解と認識を深めた。
 餐場教授は「3年ごとに学生と沖縄を訪れて沖縄の歴史や現状などを実際に目で確かめ、学ばせている」とゼミの成果を強調した。
 田中舞さん(22)は「『集団自決』の現場を訪れ、沖縄戦の悲惨さが理解できた。4月から社会人としてスタートするに当たり、沖縄で学んだことを今後に生かしていきたい」と目を輝かせた。高瀬大輝さん(22)は「集団自決は戦前の教育で天皇や国へのすりこまれた忠誠心が要因であることが分かった。渡嘉敷村の前島は日本軍が駐屯してないので住民の犠牲者が1人もいなかったことが強く印象に残った」と話した。 (米田英明通信員)