四肢まひ、寝たきり…障がい乗り越え、仲間とイベント企画・運営 「アリウープ」再始動 沖縄・浦添


四肢まひ、寝たきり…障がい乗り越え、仲間とイベント企画・運営 「アリウープ」再始動 沖縄・浦添 「やりたいことをやり、互いの人生を持ち上げていきたい」と話す「Alleyoop」の青木陽輝さん=16日、浦添市
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 【浦添】18歳で頸髄を損傷し、四肢まひがある青木陽輝(はるき)さん(22)=浦添市=が「Alleyoop(アリウープ)」のブランド名で、6人の仲間とアパレル業やイベントの企画運営を手掛けている。アリウープの語源は、何かを持ち上げるときに出る「よっこいしょ」のような間投詞。青木さんは「後付けの理由だけど、みんなでやりたいことをやり、互いの人生を持ち上げていきたいとの思いが、ブランド名にこもっている」と話す。

 青木さんは横田基地がある東京都福生市出身。サーフィンをたしなみ、バスケも好き。両スポーツの技名としても使われる、英単語「アリウープ」に引かれたという。高校3年の時、同単語を用いたデザイン画を自由帳に書き連ね、プリントしたシャツを作ろうと思い立った。遊び仲間に声をかけ、SNSを使った宣伝や、欲しい色を募集するなどマーケティングにも挑戦。2色計約130枚を販売した。

 周囲の仲間を引っ張るエネルギッシュな高校生活を送っていたが、卒業後、遊泳中の事故で四肢まひとなった。「ベッドの角度を変えて、頭を高くしただけで失神する状態。ずっと寝たきりだと言われた。その日の事しか考えられず、絶望感でいっぱいだった」。それでも2年間のリハビリを経て、車いすに乗れるようになり、作業療法士のグローブを使ってタブレットで絵を描いたり、メールをしたりできるようになった。

 リハビリ施設を退所した2022年6月、好きな海が身近にある沖縄へ移住。高校時代の仲間の声かけがきっかけで「アリウープ」が再始動した。「今までは思い付いたら全て自分でやっていたが、誰かに頼るしかない現実に直面した。でも、仲間に頼り任せていったら、みんな『前より楽しい』と言ってくれて、チーム一丸となれた」と語る。

 青木さんは現在、主にイベントの企画や運営を手掛ける。「アリウープのモットーは『自由を体現し、自由を体験させる』。仲間もアリウープ以外に仕事を持ち、それぞれの道を歩んでいる。互いにできる事や、関わる業者さん、お客さんを増やして、より楽しく自由な時間を体験してもらえるようにしたい」と笑顔を浮かべた。

 浦添市港川の外国人住宅街の店舗と、アリウープが協力して開催するイベント「Good Old Fes」が、27日と28日の両日、正午から同住宅バージニアストリートである。協賛飲食店の出店や、アリウープのアパレル商品販売がある。両日ともに午後6時半から音楽イベントもある。詳細は同フェスインスタグラム。

(藤村謙吾)