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住民救った県系2世 朗読劇に 宮古工業高 2年生が全校向け披露


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宮古島】23日の慰霊の日に先立ち、宮古工業高校生活情報科の2年生は19日、同校体育館で全生徒を対象に朗読劇を披露した。劇は、沖縄戦中に米陸軍の通訳として沖縄を訪れ、住民に投降を呼びかけて多くの命を救った、県系2世で現在の北中城村にルーツを持つ故比嘉武二郎さん(享年94歳)の証言を基に作られた。互いの違いを認め合い、困っている人に手を差し伸べることで、平和につながると伝えた。
 台本を手がけた功刀(くぬぎ)弘之教頭(57)は、これまで赴任した学校で平和学習に力を入れてきた。功刀教頭は「県平和祈念資料館へ出向していた際に、比嘉さんの話を聞く機会があった」と話す。体験者の高齢化が進む中、子どもたちが体験者から話を直接聞くことが難しくなったことに触れ「私が学んできたことをアウトプットし、子どもたちに伝えるなど、新たな形での継承が重要になる」と言葉を強める。
 朗読劇では、戦争にほんろうされた比嘉さんの体験が語られた。真珠湾攻撃を機に、米国内の日系人に厳しい目が注がれ、米国に忠誠を誓い米国のために戦うことを求められた。当時、ハワイ在住の比嘉さんは米軍の通訳として戦時中の沖縄を訪れた。銃を持たずに従軍し、住民を救おうと、投降をしまくとぅばで呼びかけ続けた。
 朗読した生徒は、平和のために何ができるかを問いかけた。朗読した平良音(のん)さん(16)は「命の危険にさらされながらも、住民のために従軍することを選び、多くの命を救った比嘉さんはすごいと思う」と語った。仲間麗愛(りあん)さん(16)は「他人のために行動できることは素晴らしいし、平和につながることだと思う」と語り、平和の一端を担える行動に努めるとした。 (友寄開)