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【前半戦総括】FC琉球、10位から巻き返し誓う 泥臭く「勝ち点」へ、先制点奪えるかが鍵


【前半戦総括】FC琉球、10位から巻き返し誓う 泥臭く「勝ち点」へ、先制点奪えるかが鍵 テゲバジャーロ宮崎戦でボールを競り合う琉球の富所悠(左)=5月18日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 サッカーJ3は折り返しとなる19試合を消化した。J2昇格を目指すFC琉球OKINAWAは、7勝6敗6分けで勝ち点27の10位。一時は2位につけたが直近は3連敗で勝ち点を得られていない。J2昇格へ向け、選手は現状を打破し後半での巻き返しを誓う。

■監督の独自色

 今季から指揮を執る金鍾成監督の独自色が光ったのが、選手の別ポジション起用だ。富所悠を前戦に近い、高い位置で起用したことで得点に絡む場面が増え、チームの順位を押し上げる好材料となった。富所は5月の月間MVP、優れたゴールを表彰するベストゴールにも選ばれるなど、生き生きとプレーした。

 さらに、これまでは右サイドバックでの起用が多かった上原牧人を右ハーフに採用。相手をかわすうまさやクロスから得点に絡むプレーなど、これまでにない好プレーが生まれ、選手の可能性を引き出した。

 ただ、17節の福島戦では前半の悪い流れから2失点。後半は富所を守備前のポジションに変更し、良い流れに変えるなど、試合状況によって臨機応変で柔軟な策略も求められている。富所は「(3連敗は)自分たちで調子を崩しており、停滞感がある。ボールを動かし続け、固い守備を崩すために賢いサッカーが必要」と鼓舞した。

■「怖さ」必要

 現在1位は勝ち点46で大宮が独走状態だ。2位以下は勝ち点31から20までに15チームがひしめき合う。J2への自動昇格は2位まで、3~6位はプレーオフを戦って1チームが昇格する。昇格チャンスがある6位以内に入るには、泥臭く引き分けて勝ち点1を狙いにいく戦略も必要になる。

 何よりも、精神的にもゆとりができる先制点を奪えるかが鍵になりそうだ。直近の3連敗はいずれも先制点を奪われた。琉球自体は、巻き返す攻撃力は兼ね備えているものの、福島や金沢戦のように2失点から追い付くのは容易ではない。中央を守り固めた相手に、内容で圧倒しても結果をひっくり返すには至らなかった。

 後半戦に向け、けが人が増えて総力戦となることも予想される。出場機会の少なかった選手の奮起、ピッチに立つ一人一人の成長がチームを押し上げることにつながる。

 野田隆之介主将は「選手同士は仲がいい。しかし、それで勝負に勝てるわけじゃない。相手が怖がるプレー、球際や1対1で勝てるチームに」と覚悟を示す。岡澤昂星も「『うまさ』じゃなくて『怖さ』が必要」と声をそろえた。

 (大城三太)