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【総評】高校野球、沖縄尚学が堅実な戦いで頂点 準優勝のエナジックは全試合で先制 県秋季大会


【総評】高校野球、沖縄尚学が堅実な戦いで頂点 準優勝のエナジックは全試合で先制 県秋季大会 2年ぶり11度目の優勝を果たした沖縄尚学=6日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(喜瀬守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 高校野球の第74回県秋季大会は9月7日~10月6日の日程で、沖縄市のコザしんきんスタジアムなどで行われた。双方2桁安打の打撃戦となった決勝は、沖縄尚学が8―5でエナジックを下し、2年ぶり11度目の優勝を果たした。九州切符を巡り、約1カ月にわたって争われた熱戦の模様を振り返る。

 犠打などでつなぎ好機

 総合力の高い沖縄尚学は、着実に加点して頂点にへと上り詰めた。特に攻撃で際立ったのは、犠打などでつないで好機を生み出す姿勢だ。チームの1試合平均の犠打犠飛数は4・2。眞喜志拓斗や、宜野座恵夢など上位打線も巧みにバントを成功させた。

 エースとして腕を振ったのは1年生左腕の末吉良丞。最速150キロの直球をに変化球を交えて打者を打ち取った。今大会は23回と1/3を投げ、被安打7で28奪三振、防御率は0・77をマークした。その他にも複数の1年生がマウンドに立ち、捕手の山川大雅と共に1年生バッテリーが奮闘した。

 沖縄尚学は5試合で失策2と安定した守備を見せ、リズムを崩さなかったことも強みとなった。

 打力が攻撃力増幅

 惜しくも準優勝となったエナジックは、初戦から決勝まで全試合で先制点を奪った。打率5割7分9厘の不動のリードオフマン・イーマン琉海が長打などで出塁。2番以降も安打のみならず、機動力を生かす判断を自主的に行い、早々と先制点をかっさらった。初回からすぐに先制につなげて畳みかける展開も多くみられた。1試合平均安打数は、10・4と2桁を超えた。1期生から引き継いだノーサイン野球と機動力に加え、新チームで鍛えてきた打力が攻撃力を増幅させた。

 投げては左の久高颯と右の福本琉依の2枚が主にマウンドを守った。ともに多彩な変化球を駆使して強打線を封じた。

 ノーシードから躍進

 宮古とウェルネス沖縄はともにノーシードから4強入りを果たした。宮古は初戦から準々決勝まで逆転で勝ち上がるなど、逆境で爆発的な力を生んだ。ウェルネス沖縄は切れ目のない打線で多くの試合を2桁安打で制し、打線の強さが光った。双方とも積極走塁で攻撃的に点を奪い、シード校などを打ち倒していった。この2校を始め、伸びしろのある多くのチームが冬を越えて成長した姿を見せることを期待したい。

 選抜大会出場の参考資料となる九州大会は26日、大分県で幕を開ける。県勢の選抜大会出場は、22年の秋季九州大会で優勝した沖縄尚学が最後だ。沖縄尚学は2年ぶりの、エナジックは初のセンバツ出場を見据え、九州の猛者たちと熱い戦いを繰り広げる。

 (名波一樹)