車いすの乗車拒否に私が声を上げた理由 100cmの視界から―あまはいくまはい―(95)

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4月1、2日に子ども2人、ヘルパー、友だちの5で熱海旅行に行きました。沖縄に帰る予定が、コロナの感染者数が増えたので、泣く泣く諦め、近場旅行したのです。旅のメインは来宮(きのみや)神社。樹齢2000年の大楠が有名で、エレベーターもあり、車いすでも回りやすい神社だと聞いていたからです。しかし思いもよらぬトラブルが。最寄りの来宮駅には階段しかなく、乗車した小田原駅で「ご案内できません」と言われてしまったのです。

駅員3人と、代わる代わる1時間交渉したものの、エレベーターのある中継地点・熱海駅までだと言われ続けました。熱海駅で降り、タクシーを使うことも勧められましたが、車いすごと乗れるタクシーは事前予約が一般的です。どうなるか分からないという不安を抱えながら、熱海駅を目指すことに。到着すると駅員が4人待っており、来宮駅まで同行し、車いすを持ってくれました。「今回だけは対応します」と言われたのですが、それでは今後の車いすユーザーも困ると思い、交渉を重ねました。翌日の帰路も対応してくれ、今後についての話もしました。


来宮神社はエレベーターもあり、車いすでも回りやすいです

この一件を私がSNSに書いたら、「障がい者なのだから下調べし、駅への事前連絡は当たり前」「狙ってやったに違いない」「駅員さんがかわいそう」「感謝の気持ちが足りない」と炎上し、15年以上前の私のブログを引用し、誹謗(ひぼう)中傷も。SNSの私のパスワードを操作しようとしてきたり、嫌がらせのアカウントを作成されたり、非通知着信もありました。

駅の構造は歩ける人が優先されていて、駅員の対応も車いす利用者を想定していないと感じました。対応した駅員を責めるわけではなく、会社全体の改善を願って声を上げただけなのに。障がい者が不利益を感じた時には、その権利を守る法律、障害者差別解消法があり、今回のようにエレベーターがない駅では、代替手段を提供する努力義務もあります。

エレベーターは、ベビーカーや高齢者、大きな荷物を持つ旅行者も使います。50年前の障害者のエレベーターを作る運動のおかげで、多くの人の便利さにつながりました。

エレベーターを作るにはお金もかかるし、車いすを持つ人の安全も、持たれる人の安全も考える必要があります。まずはどうやったら解決できるのかを考え、選択肢を一つでも多く用意することから始まります。その議論こそこれからです。


(次回は5月4日掲載)

 

クレーマーではなくクリエーターに 乗車拒否騒動から1カ月 100cmの視界から―あまはいくまはい―(96)
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1313895.html



伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2021年4月20日 琉球新報掲載)

 


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