「母の日」にネギ!? 沖縄・園児の定番プレゼント

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 5月14日は母の日。近年は各家庭だけでなく、保育園や幼稚園でも園児が手作りプレゼントをお母さんに贈る、な~んてことが定番になっています。工作やメッセージカード、キーホルダー…。いろんなバリエーションのプレゼントがあると思います。皆さんは何をもらいましたか?

 沖縄の保育園や幼稚園では、ちょっと変わった(?)母の日の“定番プレゼント”があるんです。

 何とそれは、ネギ!! 

 そして容器は決まって、植木鉢風に加工した牛乳パック!!


「母の日」が近づくと、沖縄の多くの保育園・幼稚園では青々としたネギがずらりと並びます

 つい先日も、保育園に通う娘から、「牛乳パック入りネギ」をもらいました。彼女が植えて育てたネギだそうです。牛乳パックには「おかあさん、だいすき♡」という嬉しいメッセージまでついていました。

 保育園に子どもたちを通わせて6年目。通う園が変わっても、確かに毎年もらっています。もう当たり前のようになっていて、疑問にも思っていなかったのですが…。同僚の先輩とおしゃべりしていて、「で、なんでネギなの???」と疑問が沸き、ちょっと調べてみました。


沖縄だけの定番? もはや文化か!


お母さんへの感謝の気持ちを込めたメッセージも添えて

 保育園に子どもを通わせている同僚、あるいは通わせていた同僚の何人かに確認したところ、認可・無認可、私立・公立問わず、母の日にネギをもらったことがある人が、それは続々と現れるではありませんか!

 牛乳パックを加工して容器を作り、子どもの写真や手形、メッセージを付けてデコレーションする―というスタイルも共通しています。中には「カイワレをもらったよ」という人もいましたが、進化形でしょうか!?

どうやら保育園では、母の日にネギをプレゼントすることが定番になっているようです。

 そこで、ネットで「母の日 ネギ」で検索してみましたが、ヒットするのは沖縄の保育園ばかり!

 全国私立保育園連盟にも問い合わせてみたのですが、「詳細な資料はないですが、ネギを贈るという話は聞いたことがないですね」との説明…。

 どうやら「母の日のプレゼント=ネギ」は、沖縄独自の風習のようです。ここまで定着すると、もはや文化でしょうか?


キーワードは「食育」「短期間」「失敗なし」


子どもから「ありがとう」と手渡されるとキュンとなりますね

 それにしても、なぜネギなのでしょうか!? 

 保育士さんに話を伺うと「食育」「短期間で育てられる」「失敗がない」という3つのキーワードが浮かび上がりました。

 那覇市にある首里当蔵保育園の新垣秋子主任は、少なくとも20年前から母の日のプレゼントにネギを準備していたそうです。「ネギは一般家庭でよく使われる食材。成長も早く、子どもたちにも育てやすい。自分で育てたものを各家庭で収穫して、一緒に調理して楽しむことができる。ネギが苦手な子どもでも自分で育てたネギは喜んで食べるんです」と食育への効果を強調しました。

 保育士歴50年になる、あじゃ保育園の三木元子園長はなんと40年前からネギの栽培に取り組んでいたとのこと。例年ネギだけでなく、工夫をこらしたプレゼントを準備するそうですが、「ネギは簡単に育てられて失敗が少ない。お母さん方にも好評です」と話します。

 


ネギで「ねぎらい」 園児の心の成長にも


 「ネギと『ねぎらい』をかけたという話もありますよ」と教えてくれたおおな愛児保育園の上原直園長は、ハツカネギの“確実性”がプレゼントに向いていると説明。その上で「毎日継続して水をあげることで母親への感謝の気持ちも高まり、自分が育てたものが食事につながることを学ぶことができるんです」と園児の心の成長面での効果についても力説してくれました。

恐るべし! 保育士ネットワークで広がった?


子どもと一緒にネギを刻み、朝ご飯のお味噌汁にしていただきました

 沖縄キリスト教短期大学講師の糸洲理子さんは、食育と牛乳パックの空き箱を利用する廃材利用の観点からこの取り組みを評価しています。

 「ネギは育てやすく、牛乳パックは集めやすくて装飾しやすい。牛乳パックの装飾は園児と一緒にできるし制作費もほとんどかからない。土も園庭のものを使える。比較的安上がりで、成長過程がしっかり見えて食育につなげやすいところが、ネギのプレゼントが根付いた理由かもしれないですね」と解説してくれました。

 同大学で教鞭をとる糸洲さんは、廃材を利用した制作遊びの具体例として、母の日にネギをプレゼントする事例を学生に紹介しているそうです。保育士の卵にまで、取り組みが浸透しているとは驚きです!

 前述の上原園長も「保育士のつながりは強い。園長会などで情報交換して、いい取り組みは共有しています」と説明します。母の日のプレゼントにネギが広まった背景には、子どもの成長を願う保育士の思いがあるのかもしれません。

 とまぁ、沖縄の保育園・幼稚園では、「母の日」といえばネギ! なんです。

 県外の保育園の「定番」などをご存じの方、ぜひ教えてくださいね。



~ この記事を書いた人 ~


熊谷樹(くまがい・たつき)

 琉球新報社営業局。事業局開発事業部(当時)でイベントの企画運営に携わった後、編集局社会部、南部報道部、整理部などを経験。漫画と手芸が好きなインドア派でしたが、外遊びが好きな子どもたちのおかげで、体を動かすようになりました。娘とともにサンバなどのブラジルダンスを習っています。最近はサンバの打楽器隊(バテリア)にも興味津々です。




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