<金口木舌>ある退役米軍人の思い


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 退役米軍人らを中心とする平和団体ベテランズ・フォー・ピース(VFP)の総会で、沖縄の基地問題に取り組む決議がなされた。提案したのは、今年結成された琉球沖縄国際支部。その事務局長、エド・サンチェスさん(53)は、1992年からビーチ清掃のボランティア活動を続ける沖縄インターナショナルクリーンビーチクラブの会長でもある

▼81年、18歳の時に嘉手納基地で戦闘機の整備士として1年間滞在。美しい海が印象に残った。10年後に沖縄に移住し、ごみだらけのビーチに驚いた
▼外国語指導助手をしながら活動に没頭。93年から「海は命のふるさと。だから、この宝、大事にしよう」と呼び掛ける「アイ♡(ラブ)オキナワ」キャンペーンを始めた
▼沖縄を愛するなら基地問題にも向き合わざるを得ない。阿波根昌鴻さんの非暴力の運動に学んだ。「宝」である大浦湾を守るため、新基地反対は必然だった。元米海兵隊員の平和活動家、故アレン・ネルソンさんがVFPの一員だったと知り、2011年に入会した
▼その翌年、イラクから帰還していた弟が自殺した。陸軍大尉、40歳だった。「初めて気付いたんだ。米国では退役軍人が毎日22人も自殺している」。悲しみに押され、支部結成に向かった
▼「沖縄の人たちが、こんなに長く平和的な運動を続けていることを尊敬します。だから応援したい」