<社説>子ども貧困対策 息の長い取り組みが必要だ

 子どもの貧困をめぐる県内の厳しい状況を踏まえた抜本的な対策を中長期的に続けていくべきだ。

 那覇市が新年度から子どもの貧困緊急対策事業として、貧困対策支援員配置や子どもの居場所づくり支援などの取り組みを始める。内閣府が2016年度予算で10億円を計上した沖縄子どもの貧困緊急対策事業費を活用する計画だ。那覇市以外の各市町村も同様の事業を計画したり検討したりしている。
 この事業は内閣府が全額を補助する。那覇市は事業費に総額2億5千万円を見込んでおり、他市町村の取り組み次第で国の配分額が変動する可能性もあるが、その場合は補正予算で対応することも検討するという。ぜひ積極的な対応を期待したい。
 県内では財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)な自治体が多い。さらに税収低迷や社会保障費の増大などでどこも財政事情は厳しいが、沖縄の未来を担う子どもたちへの投資には惜しみなく力を注ぐべきである。
 内閣府沖縄担当部局には、子どもの貧困対策をさらに拡充、発展させていくよう求めたい。「沖縄らしい優しい社会」「強くしなやかな自立型経済」を掲げた現在の沖縄振興計画の方向性にも合致することは言うまでもない。
 山形大の戸室健作准教授がまとめた調査結果では、最新の12年データで沖縄県内の子どもの貧困率は37・5%と全国最悪だった。全国平均の約3倍という数字に、貧困問題に詳しい識者らの間でも衝撃が広がった。
 本紙が連載中の「希望この手に-沖縄の貧困・子どものいま」は、私たちの周辺で多くの子どもたちが人知れず過酷な生活を強いられている現状を伝えている。沖縄の厳しい現実から目をそらさず、一刻も早く改善を図っていく必要があることは論をまたない。
 那覇市の新たな事業では、市内の全17中学校区に専門的な知識や技術を持つ貧困対策支援員を配置することや、貧困家庭の小中高生を対象にした自立支援員事業の拡充を図ることなどを計画している。難しいとされる子どもの貧困の実態把握を進めていくことが肝要だ。
 那覇市は子ども食堂や学習支援、不登校・引きこもり支援などに取り組む団体への支援も計画している。他市町村でもさまざまな議論を進めている。多面的な取り組みをぜひ並行して進めてもらいたい。



琉球新報