<社説>新報活動賞 地元への愛着と貢献に学ぶ

 一筋の道を歩み、周りの人の行き先を照らしてくれる。「一隅を守り千里を照らす」をまさに体現する人々だ。第38回琉球新報活動賞の贈呈式があり、5団体・2個人が顕彰された。そのひたすらな歩みに感謝をささげたい。

 社会部門の沖縄語普及協議会はしまくとぅば消失を懸念し、若い世代に引き継ぐため2000年に発足した。9月18日が「しまくとぅばの日」となり、言語継承の機運が高まったのも同協議会のおかげだ。
 教育部門の屋良初美氏は地元の小学校の絵本読み聞かせや行事運営、地域と学校が交流する祭りの創造など幅広い活動を続けてきた。
その姿勢は新たな共同体創出の試みとも言え、現代的意義は大きい。
 産業部門のパラダイスプランは宮古島の地下海水を使った自然塩「雪塩」の製造・販売会社だ。製造業と観光の接点「島の駅」や県内外の店舗「塩屋」で示した「会社の枠を超えた」活動が光る。
 同じく産業部門のあざみ屋が手掛ける八重山ミンサー織をあしらったバッグやネクタイ、財布は誰もが一度は目にしたことがあるだろう。伝統工芸を産業にまで引き上げた功績は大である。
 文化・芸術部門の島袋常秀氏は読谷村に工房を構え、壺屋焼の伝統的な手法を守りつつ、新しい色、斬新な形の器に次々と挑戦している。県立芸大教授などを通じた人材育成の功績も計り知れない。
 地域振興部門のあいあいファームは「だいこんの花」などの飲食店を通じて県産農産物の6次産業化を実現した。同時に廃校を活用した食品づくり体験工房などで地域おこしにも尽力している。
 出版・文化活動部門の南山舎は石垣市で30年近く活動する。八重山の文化、歴史、言語に関する書籍も多く、菊池寛賞といった県内外の賞を多数受賞するなど高い評価を得る。その文化的貢献は大きい。
 各団体・個人が似たようなことを口にするのが印象的だ。「地域の子を地域で守り育てる」(屋良初美氏)、「沖縄の発展に貢献できる企業になる」(西里長治パラダイスプラン社長)、「伝統を後世に残す」(新賢次あざみ屋社長)、「八重山のために何かしたい」(上江洲儀正南山舎社長)。すなわち地元への深い愛着と貢献への意志だ。
 その献身に感銘を覚える。照らし出された「千里」を心に刻むとともに、その姿勢にも学びたい。



琉球新報