<社説>保育園匿名ブログ 首相は反論より解決策示せ

 働きたいが幼い子どもを預ける先がどうしても見つからない。そう途方に暮れる多くの国民の声に真摯(しんし)に耳を傾けるのが政治の役割であることは言うまでもない。

 「保育園落ちた 日本死ね」。子どもが保育園の入園審査で落ちてしまったことについて、刺激的な言葉で国への不満をぶつけたインターネット上の匿名ブログへの反響が広がっている。
 話題の投稿がネット上に出たのは2月中旬のことだ。ブログには「昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ」などと激しい言葉が並んでいる。子どもが保育園に入れないことに対する抑え切れない怒りがひしひしと伝わってくる内容だ。
 ネットでは賛同する署名が2万5千以上集まった。同じ境遇の母親たちを中心に共感の輪が広がっているというが、当然だろう。認可保育所や認定こども園などの入所を希望しても入れない待機児童は昨年4月1日時点で全国で2万3167人もおり、前年同期から1796人増えている。
 待機児童数の7割余りは首都圏と近畿圏、政令指定都市などで占めるが、沖縄も状況が深刻だ。昨年4月時点で那覇市の待機児童数は539人と全国市区町村で3番目に多く、全国ワースト100自治体に県内12市町村が入る。子どもの保育園が探せず、投稿者のように、やり場のない怒りを感じた人は沖縄でも少なくないはずだ。
 匿名ブログは国会でも取り上げられたが、あろうことか安倍晋三首相は当初「匿名なので実際に本当かどうか確かめようがない」と答弁した。委員会室では「中身のある議論をしろ」「誰が書いたんだ」とやじも飛んだ。子育て政策をめぐる日本政治の貧困が表れているようで、何とも嘆かわしい。
 自身の答弁などへの抗議の声が広がり、安倍首相は「保育士の待遇改善にも取り組みたい」と批判に反論しながら答弁を軌道修正したが、ブログの叫びをどこまで真剣に受け止めていたのかは疑問だ。
 投稿者は首相が実現を目指す1億総活躍社会を挙げ「私活躍出来ねーじゃねーか」と訴えていた。
 激しい言葉だが、政権の目玉政策と一向に解決しない待機児童問題の矛盾を突いた本質的な指摘だ。批判への反論に躍起になるのではなく、待機児童解消への道筋を早急に示すことこそが首相の仕事だ。