<社説>県が係争委申し出 地方自治に即した審理を

 基地重圧からの脱却、環境保全という県民要求を踏まえた行政判断に対する「国の関与」が問われる。地方自治に即し、実質審理を尽くしてほしい。

 新基地建設に伴う名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事に対する国の是正指示を受け、県は国地方係争処理委員会に審査を申し出た。
 県の係争委申し出は昨年、県の埋め立て承認取り消しを国土交通相が執行停止した時以来、2度目だ。その時は、県の申し出自体を「不適法」と判断し、審理に入らぬまま却下した。門前払いにしたのである。
 今回は違う。地方自治法に基づく是正指示は、地方公共団体に対する明確な「国の関与」だ。係争委の小早川光郎委員長も実質審理の対象になると認めている。
 係争委は「国の関与」から地方公共団体を保護するという本来の役割を放棄してはならない。公正・公平な判断を示してほしい。
 申し出における県の主張は(1)指示文書に指示の理由が記されておらず、地方自治法の定めに反している(2)具体的な理由・事実が一切記されていない以上、取り消しに関する法令違反の事実を認めることができない-というものだ。
 県の主張に沿えば、国の姿勢は「問答無用」ということに尽きる。代執行訴訟の和解合意からわずか3日後に是正を指示し、その理由を示さないまま国への追従を迫るような強引な態度は、民主主義と国からの独立という「地方自治の本旨」に反している。
 代執行訴訟の和解勧告は「地方自治法改正は、国と地方公共団体が、それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となることが期待されたものである」と論じ、訴訟における対立構図は地方自治法改正の精神に反すると指摘した。
 この指摘は新基地建設を急ぐあまり、地方自治の手続きをことごとく軽視してきた国の態度をいさめたものだ。
 国は和解勧告の指摘を謙虚に受け止めるべきだ。しかし、是正指示にみられる国の姿勢は、和解勧告の趣旨から大きく逸脱している。これでは法治主義を標榜(ひょうぼう)することはできない。
 地方自治の精神に基づく県の係争委申し出に対し、国は正面から向き合うべきだ。それができなければ、県に是正を指示する資格はないと自覚すべきだ。