<社説>米兵事件抗議集会 これ以上人権蹂躙許さない

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ前で開かれた米兵による女性暴行事件に抗議する「緊急県民抗議集会」には、主催者発表で2500人が集まった。目標の千人を大きく上回る人々が駆け付けた。事件に対する県民の怒りが大きいことを示すものだ。日米両政府は深刻に受け止めるべきだ。

 沖縄の施政権が日本に返還された1972年以降、米軍関係者による刑法犯摘発は2015年末時点で5896件、5815人に上る。このうち女性暴行事件はことし最初に摘発された今回の事件を含めると130件、148人となる。これらの数字は沖縄に過重な基地が集中していることによって、住民の人権が蹂躙(じゅうりん)されてきた傷痕といえる。
 集会場所のシュワブ前の歩道は次々と駆け付ける人々でぎっしりと埋め尽くされた。そして女性の姿が多く見受けられた。乳児を胸に抱えた若い母親は真剣な表情で登壇者の話に耳を傾け、子どもたちを連れて来た母親のグループは「だれの子どももころさせない」と書かれた横断幕を基地に向けて掲げていた。参加者一人一人が事件をひとごとではなく、わが事として受け止めているのだ。
 性的暴行という犯罪は相手の気持ちを踏みにじり一方的な力でねじ伏せて陵辱する非道行為だ。事件だけではない。相手の気持ちを踏みにじり、一方的な力でねじ伏せる行為が県内でほかにも起きている。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画だ。
 名護市長、県知事、沖縄4選挙区で当選した衆院議員の全員が移設反対を掲げ、県内世論調査でも県内移設反対が7~8割を占める中、政府は沖縄の民意を踏みにじって建設を強行してきた。
 2011年、当時の沖縄防衛局長は辺野古移設の環境影響評価書の提出時期を明言しない理由について「犯す前にこれから犯しますよと言いますか」と発言した。政府の本音だろう。新基地建設こそ県民に対する陵辱ではないか。
 集会では「すべての米軍は沖縄から撤退すること」を求める決議が採択された。新基地だけでなく全基地撤去も求めた。最後に参加者全員で「沖縄を返せ」を合唱した。その歌声は「基地のない平和な沖縄を返せ」との願いだ。これ以上、軍事基地による人権蹂躙を繰り返すことは決して許されない。
英文へ→Editorial: Human rights violations can no longer be tolerated