<社説>男女共同県民調査 男性の意識改革こそ必要だ


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 同じように暮らしながら男女に埋め難い意識の差がある。県が2015年度に実施した男女共同参画社会づくりに関する県民意識調査の結果を見ると、男性が思うほど、女性は現在の社会を「平等」と感じていないことが分かる。 2016年に新たにがんと診断される人は、国立がん研究センターの推計で101万200人と初めて100万人を超えた。がんで死亡する人は37万4千人になるとも予測している。

 社会全体が「平等」と思う男性は21・5%だが、女性は9・1%にすぎない。「平等」だと思っている割合が高い「法律や制度上」「家庭生活」も、男性がそれぞれ45%前後あるのに対し、女性は「法律や制度上」で26・3%、「家庭生活」は28・9%とそれぞれ約17ポイントの開きがある。
 社会全体としての男女の平等感を聞いた設問では、女性の75%が「男性の方が優遇されている」「どちらかと言えば男性の方が優遇されている」を選択している。男性も64・8%がこの二つを選んだ。男性も感覚としては「優遇されている」社会であることを認識している。
 暮らしの場面で、女性に不平等感があるのは「家庭生活」を聞いた設問からも明らかだ。家事(掃除・洗濯・炊事)を「主に行う」のが妻であるという回答は82・5%に達する。「子どもの世話・しつけ」も50・7%と高い割合だ。
 「男は外に出て働き、女性が家庭を守る」という旧態依然の性別による役割分担が、今もなお固定化されているといえよう。
 これはトートーメー(位牌(いはい))継承についての設問でもいえる。42・9%が「それぞれの家にまかせるべき」と考えているにもかかわらず、実際には「長男に限る」という家庭が65・8%となっている。
 トートーメー継承は、男系優位社会を象徴するものであり「長男に限定」することは男女の平等や多様性を否定することにもつながる。男系優位となっている沖縄社会の在り方を変えるには、行政や民間の協働も必要だが、男性自身が性別での役割固定につながる慣習を見直すことから始めるべきだ。
 同様のことは配偶者による暴力(DV)や性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)でもいえる。直接的な暴力に限らず、言葉などの精神的な嫌がらせ、お茶くみの強要など被害は圧倒的に女性が多い。
 男女共同参画社会の意義は、男女を問わず、個人の尊厳が等しく認められる社会を目指すことにある。ならば圧倒的に「優位」とされる男性が、社会の変革にもっと関与し、意識を改めるべきだ。