<社説>自民党県連の対応 「リンク論」政争に用いるな


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 自民党県連は県民本位の職責を忘れてはならない。安倍政権が基地問題と沖縄振興の「リンク論」を鮮明にした中で県連、国会議員の対応を県民は注視している。

 来年度の沖縄関係予算の政府折衝を前にした翁長雄志知事との会談を、自民党県関係国会議員の「かけはしの会」がキャンセルした。自民県連の反発が理由という。
 理不尽な基地「リンク論」で、来年度の県関係予算は不当な減額が懸念されている。自民県連は、このような事態にこそ、党本部、安倍政権とのパイプを生かし、十全な県予算の獲得に尽力すべきだ。
 沖縄振興特別措置法などに基づく特別措置が期限切れを迎える税制改正についても同様だ。
 翁長知事との会談中止は、2年後の県知事選挙をにらんだ対応とみられている。リンク論で翁長県政を苦境に追い込むことが、今後の選挙に有利に働くと考えているとしたら言語道断だ。
 県関係予算の確保、酒税特別措置等の延長という県民、県経済界にとって死活的に重要な問題を「政争の具」にしてはならない。
 自民県連、国会議員は辺野古新基地建設の是非など政策の違いは棚上げにして、県の政府折衝を側面支援してもらいたい。
 安倍政権は内閣改造を機に基地問題と沖縄振興策の「リンク論」を打ち出した。基地問題と予算はリンクしないという従来の政府方針を180度転換するものだ。
 予算や税制を人質に、辺野古新基地やヘリパッドの建設受け入れを強いるものであり、公平な予算編成の原則を踏み外し、地方自治を否定する暴挙だ。
 そもそも「沖縄の自主性を尊重する」と明記する沖縄振興法に反することは明確だ。
 「リンク論」がまかり通れば、沖縄振興への影響は計り知れない。県議会は直ちに抗議決議を行ってしかるべきだ。市町村の首長、経済界も声を上げてほしい。
 自民県連、国会議員は「リンク論」に対する見解、これを打ち出した安倍政権への対応、県関係予算、税制への対応を明確に示してもらいたい。
 大田昌秀知事が普天間飛行場の辺野古移設に反対を表明した翌1999年に、政府は沖縄関係予算を前年度より900億円も減額した。このような無謀を二度と許してはならない。自民県連、国会議員の存在意義が問われている。