<社説>辺野古IUCN勧告 日本政府は従うべきだ

 国際自然保護連合(IUCN)が日本自然保護協会など国内の非政府組織6団体が共同提出した辺野古新基地建設に伴う外来生物対策を求める勧告案を賛成多数で採択した。

 勧告は、辺野古新基地建設が「埋め立て資材に混入して運ばれる外来種に対し経路をつくることになる」と指摘。日本政府に埋め立て土砂に混入する外来種の早期発見方法の確立などを求め、米政府には外来種を防ぐ適切な方法を取ることを要請している。
 辺野古新基地建設に伴う埋め立てに高いハードルを課すことで、事実上、建設断念を日米両政府に迫ったと言っていい。
 新基地建設の埋め立てには2100万立方メートル、県庁70棟分もの土砂が使われ、うち1700万トンは九州や四国から搬入される。県外の土砂採取地区ではアルゼンチンアリやセアカゴケグモなど、在来種を駆逐したり毒性があったりする生物9種が確認されている。
 大量の土砂から外来種を一つ残らず発見することは不可能に近い。外来種を早期に発見する方法の確立や侵入を防ぐ適切な方法も見当たらない。
 最善の方法は県外から土砂を搬入しないことである。勧告を尊重すれば、辺野古新基地建設を断念するしかない。
 勧告に強制力はないにしても、外務省と環境省がIUCNメンバーに名を連ねる日本政府には勧告に従う義務と責任がある。
 IUCNが日本政府に対し、過去3度行ったジュゴン保護勧告のように、意に沿わないからといって無視するようでは、国際社会から信用を失うことになる。
 日本は2010年の生物多様性条約第10回締約国会議で議長国を務め、生物多様性保全に関する国際的な目標「愛知ターゲット」を取りまとめた。20年までに少なくとも陸地の17%、海の10%を保護区にすることや、絶滅危惧種の絶滅がなくなることなどが「愛知ターゲット」には盛り込まれている。
 政府は本来、保護区となるべき新基地建設予定海域を埋め立てる愚を犯してはならない。
 環境省は、辺野古沖を含む沖縄本島中北部沿岸を生物多様性の観点から重要度の高い海域に指定している。自ら貴重とする海域を埋め立てる矛盾した姿勢を、政府は改めるべきだ。

英文へ→Editorial: The Government of Japan should abide by IUCN advisement regarding Henoko