<社説>民進代表に蓮舫氏 新基地ノーの選択肢示せ


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 辺野古新基地の見直しを含む在沖米軍基地の負担軽減、安全保障政策で新たな選択肢を示してほしい。それが自公政権に対峙(たいじ)する野党第1党の役目ではないか。

 民進党は15日の臨時党大会で、蓮舫氏を新代表に選出した。旧民主党、旧維新の党時代を通じて、初の女性の党代表である。
 蓮舫氏は民主党政権下で実施した「事業仕分け」で厳しく政府予算を精査し、注目を集めた。持ち前の発信力で民進党の存在感を高めてほしい。
 蓮舫氏に求めたいことは、米軍基地の重圧に苦しむ沖縄の現状を打開する具体策の提示と実行だ。それも辺野古新基地やヘリパッド建設に象徴されるような基地負担を沖縄に封じ込める手法であってはならない。
 辺野古新基地やヘリパッド建設を強行する安倍政権に対抗する政治勢力として、民進党が新たな基地負担軽減策を打ち出さない限り、県民の支持は得られない。
 代表選の過程で、蓮舫氏が「移設は私たちの政権で決めていることなので、方向性を変えることはない」として、新基地建設を支持したのは残念だ。鳩山由紀夫元首相が米軍普天間飛行場の県外移設を公約とした事実を忘れてはならない。辺野古新基地を拒否する沖縄の民意を無視する発言だ。
 結果的に「最低でも県外移設」という公約は果たされず、鳩山内閣は退陣した。しかし、辺野古移設に代わる選択肢を提示した意義まで失われたわけではない。
 野党時代の1990年代末、鳩山氏は「常時駐留なき安保」を提唱していた。沖縄の基地負担の解消を図る新たな安全保障像として注目を集めた。
 さらに、民主党政権下の森本敏防衛相は「海兵隊が沖縄にいなければ抑止にならないというのは軍事的には間違い」と明言した。在沖米海兵隊の「抑止力」の虚構性を明らかにするものであり、自公政権下ではなかったことだ。
 民進党はこれらの経緯を踏まえ、新たな安全保障政策を打ち出すべきだ。当然、従来の対米追従姿勢を改め、対等な日米関係の構築を目指すことが前提となる。
 米軍属女性暴行殺人事件に抗議する県民大会は新基地阻止と海兵隊大幅削減を要求した。沖縄の声を踏まえた外交・安保政策の確立を蓮舫氏に求めたい。現政権と同じでは県民は納得しない。