<社説>熊本地震半年 生活再建へ継続支援を


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 今年4月に発生した熊本地震から半年たった。

 熊本地震では震度7を2回記録し、震度1以上の地震回数が4千回を超えた。震災関連死を含めた死者は110人に上っている。熊本県は地震による被害額は3兆7850億円に上ると発表した。被害の内訳は住宅関連が最も多く、2兆377億円と半分以上を占めた。一部損壊を含めた被害は計約17万棟に及ぶ。
 傷痕の深さをこれらの数字が示している。地震から復興へ歩むさなか、阿蘇山の爆発的噴火が36年ぶりに発生した。農業や観光業への影響が懸念される。一日も早い復興と生活再建へ向け、引き続き支援していきたい。
 共同通信のアンケートでは、元の場所での住宅再建を望んだ人が約7割に上った。だが資金不足で見通しが立たない人が多い。住み慣れた場所に戻るのは容易ではないことが分かる。
 熊本日日新聞が実施した応急仮設住宅が整備された県内16市町村長の聞き取り調査によると、復興までに要する年数は5年程度と答えた首長が10人で最多だった。全ての市町村が厳しい財政運営を強いられ、全首長が「復旧・復興には財政支援が必要」と訴えている。懸念事項の順位付けでは、5人が1番に「財源不足」を挙げている。
 県や被災市町村は、地震被害の大きさと財政基盤の脆弱(ぜいじゃく)さを理由に、地方負担を最小化し長期的な支援を可能にする特別立法を要望しているが、政府は立法化に否定的だ。地元の声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。
 熊本地震で被災自治体が混乱し、物資や人的支援を十分に活用できなかった。この教訓を踏まえ、内閣府は自治体が受け入れ態勢を整えるための指針をつくる。支援物資や人材の受け入れを一元的に調整する窓口設置や、他自治体から派遣された応援職員に手伝ってもらう業務のリスト化、ボランティア団体との連携策を早急にまとめてほしい。
 一方、熊本地震の被害が集中した益城町で被災した建物の多くは活断層の真上か周辺に集中していた。同町は活断層の真上は住宅建設を避け、他に移転してもらう案を検討している。国内の活断層は推定2千以上とされる。対象自治体は対策を急がなければならない。地震の予知は難しい。事前の備えの徹底も熊本地震の教訓だ。