<社説>40回産業まつり 「沖縄発世界へ」の飛躍を


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 第40回の節目となる「沖縄の産業まつり」が、きょうから3日間、那覇市の奥武山公園・県立武道館で催される。多くの県民が足を運んで、改良と新開発を遂げる県産品の数々に触れてほしい。

 同産業まつりは、「海洋博ショック」と呼ばれた経済不況を脱しようと1977年にスタートした。
 その後の発展には目を見張らされる。第1回の参加75企業・団体が、今回552と飛躍的に拡大した。商品レベルも向上し、農林水産、製造、観光業など全産業が集う県内最大の総合産業展として定着している。
 スタート時に「不況脱却」を目指した産業展は、第12回から「沖縄発本土行き」を目標に、ベクトルを県内から国内に広げた。
 企業努力による品質向上、新商品の開発が「本土行き」を後押しし、今や県民だけでなく、県外の企業が会場を訪れるマーケティングの場となっている。
 県のものづくり産業の課題について胡屋守章・同まつり実行委員会会長は「県外・海外への市場の拡大」、そのための「コスト、品質、技術力の向上」を指摘する。
 良質で安価な商品開発、国内外への販路拡大のため、企業、関係団体は英知を絞ってもらいたい。
 技術・商品開発では沖縄科学技術大学院大学など研究機関の立地、国内外への販路拡大では全日本空輸(ANA)の国際物流ハブ(拠点)事業など、各面の条件整備が進んでいる。
 これまでシークヮーサーや黒糖など多くの優良商品を輩出してきた。今回の数多い商品の中の一例として、泡盛各社は自慢の商品を出展する。ハイビスカスの酵母を用いた泡盛、樽貯蔵でバニラの芳香を醸す泡盛など、独自の技術と醸造法の商品開発を競い合う。
 沖縄科学技術大学院大学ほかの研究機関が、オキナワモズクの全遺伝子情報(ゲノム)の解読に成功し、フコイダンなどの機能性成分を生かした商品化が期待されている。
 産官学の技術開発の進展によりバイオ、海洋産業など新たな商品開発の可能性も高まっている。
 アジアの玄関口に位置する沖縄は、空路・海路の流通ハブの有望さに着目し、国内、海外からの企業進出も相次いでいる。
 「沖縄発本土行き」は「沖縄発世界へ」の大きな転換機を迎えている。産業まつりの会場で、その可能性を感じ取ってほしい。