<社説>知事権限封じ検討 愚策やめて辺野古断念せよ

 名護市辺野古の新基地建設で、政府が翁長雄志知事の承認が必要となる埋め立て計画の変更申請を避けることを検討している。知事権限での工事中断回避が目的だ。果たしてそんなことが可能なのか。

 大型の埋め立て工事の場合、複数回の変更申請をするのが通例だ。防衛省は米軍岩国基地の滑走路沖合移設事業で8回の変更申請を山口県に提出した。中部国際空港(愛知)の埋め立て事業の変更申請も14件だ。
 防衛省の地方協力局長は2014年の衆院安全保障委員会で辺野古の埋め立てについて「工事促進に資する工法への変更、環境保全の観点などから変更を申請することはあり得る」と述べている。ところが政府は知事の権限を封じるため、変更申請をしない方針へと舵(かじ)を切った。「なりふり構わぬ」とはこういう姿勢を指す。
 ちょっと待ってほしい。沖縄防衛局は2件の作業方針を決めずに棚上げしているではないか。美謝川の水路と埋め立て土砂の運搬方法だ。美謝川は埋め立てで河口部をふさぐため、地下水路を整備する必要がある。当初の申請はキャンプ・シュワブの外に流れる切り替え案を示していた。これだと名護市との協議が必要となる。市は移設に反対しており、協議がまとまる見通しは立たない。
 このため防衛局は市の権限の及ばないシュワブ内を通る水路に見直し、承認を許可した仲井真前県政に変更申請を出した。しかし水路の長さは当初計画の4倍以上に当たる1022メートルまで延び、仲井真県政も難色を示したため、防衛局は申請を取り下げた。
 土砂運搬も当初はベルトコンベヤーを設置して実施するはずだった。辺野古ダムをまたぐため、市との協議が必要となり、市の同意が必要ない国道329号の上に工事橋を設置する方法に変えた。これも県に変更申請を出したものの、理解を得られず取り下げた。
 どちらを選んでも2件の作業は市もしくは県の同意が必要となる。それとも美謝川は河口部をふさいだまま放置するのか。北部訓練場のヘリパッド建設のように、ヘリコプターで土砂を空輸するとでもいうのか。
 政府関係者は「いくらかかってもそのまま造る」と言っている。愚策としか言いようがない。すでに工事は破綻している。往生際の悪いことなどせず、辺野古移設そのものを断念すべきだ。