<社説>宮古島市長選告示 公約比べ未来築く1票を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 宮古島市長選が15日、告示された。

 前県議の奥平一夫氏(67)と現職の下地敏彦氏(71)=自民推薦、医師の下地晃氏(63)=社民、社大推薦、前市議の真栄城徳彦氏(67)の4人が立候補した。
 保守系から下地敏彦氏と真栄城氏の2人、翁長県政を支える「オール沖縄」の立場から奧平氏と下地晃氏の2人の計4人が争う構図だ。
 両陣営がそれぞれ分裂しての選挙戦という異例の展開となったために、人選に目が行きがちだが、宮古島市にはさまざまな課題がある。候補者の訴えに耳を傾け、公約を比較して宮古島市のリーダーを選びたい。
 大きな争点は陸上自衛隊の配備問題だ。防衛省は2015年、市内2カ所に700~800人規模の警備部隊とミサイル部隊の配備計画を市に打診した。2候補地のうち旧大福牧場案は地下水源へ影響する可能性があるとして市民が反発した。下地市長は陸自の受け入れを表明した上で「旧大福」案は反対した。だが、もう一つの千代田カントリークラブ案についても住民生活への影響を懸念して近隣住民は反対の決議をしている。
 陸自配備について本紙インタビューで4氏の見解は分かれる。
 奥平氏は明確に「反対」する。下地敏彦氏は配備を「了解」とする。下地晃氏は「計画の開示が不十分で反対」とし、真栄城氏は「賛成だが計画の全容が見えない」とする。
 自衛隊配備は市民生活や経済活動に多大な影響を与える可能性がある大規模計画だ。しかし「旧大福」案の経緯を見ても、情報開示が不十分だったことが市民の不安や不信を呼んだのも事実だ。
 自衛隊配備は宮古島市だけでなく、先島、ひいては沖縄県全体の安全保障の問題ともなる。4候補者は公約を市民にきちんと説明してほしい。
 県内11市の中で唯一、人口減少が続く宮古島市は、地域活性化策や若年人口の増加策も重要な争点だ。観光などの産業振興、医療・福祉、待機児童解消などの子育て支援、まちづくりの方向性など明確な主張と政策を有権者に提示してほしい。
 前回無投票だったため、市民にとっては8年ぶりの市長選になる。民意をつくるのは市民一人一人であることを改めて自覚し、投票権を行使してほしい。