<社説>首相「5年内」ほご 責任転嫁せず運用停止を

 自ら交わし、「全力で取り組む」と閣議決定までした約束を何の努力もなく放棄し、責任を転嫁する。一国の首相の姿だろうか。

 安倍晋三首相は衆院予算委員会で、自身が約束した2019年2月までの米軍普天間飛行場の運用停止(5年以内運用停止)について「翁長雄志知事に協力していただけていない。難しい状況だ」と述べ、実現困難とした。
 5年以内の運用停止を事実上放棄したばかりでなく、普天間の移設先とする名護市の新辺野古基地建設に反対する翁長知事に責任をなすりつけた。
 5年以内運用停止は13年12月、仲井真弘多知事(当時)が辺野古の埋め立てを承認する最大の条件だった。
 仲井真知事は「政府が示している辺野古移設計画は約10年を要し、その間、普天間飛行場が現状維持の状態となるようなことは絶対に避けなければならない」として5年以内の運用停止を求めた。これに対し、全閣僚を同席させた安倍首相は「最大限努力する」と請け合った。
 しかし、その2日後、米国防総省は「できない。日本の国内議論について話す立場にない」とにべもなかった。以降、日本政府が米政府と5年以内運用停止について交渉した形跡はない。
 「5年以内」に消極的な日本政府の姿勢は翁長知事の誕生に始まったことではない。仲井真県政時からだ。当初から、辺野古埋め立ての知事決裁を得るための空手形だったのだ。
 政府はこれまでも沖縄に基地を押し付けるための約束をし、時間の経過とともに有名無実化する手法を取ってきた。
 菅義偉官房長官が普天間問題の起点とする1999年の辺野古移設容認も「15年使用期限」や「軍民共用」が条件だった。日本政府はこれに同意する閣議決定をしながら、2006年の閣議決定で廃止した。こうした例は枚挙にいとまがない。政府は県民の根強い不信の元が政府にあることを自覚しなければならない。
 そもそも安倍政権は「普天間の危険除去が原点」と繰り返し主張している。であるならば、まずは普天間の危険除去、すなわち運用を停止するのが筋ではないか。空手形はもういらない。沖縄の負担軽減をうたうならば、即刻普天間を運用停止すべきだ。