<社説>創生相「がん」発言 「一掃」されるべきは誰か

 安倍政権の閣僚らの問題発言が相次いでいる。今月初旬の今村雅弘復興相に続いて、今度は山本幸三地方創生担当相が、学芸員を「がん」と発言して批判を浴び、撤回した。

 野党が弱体化して安倍政権の「一強」状態の中で、閣僚のおごりが目立つ。山本氏は発言を撤回したが、それでは済まない。安倍晋三首相は山本氏を更迭すべきだ。
 山本氏は大津市のホテルで地方創生に関するセミナーに出席し、外国人観光客らに文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと発言した。
 そもそも学芸員は観光案内役ではない。博物館法で定められた専門員で、資料の収集、保管、展示、調査研究を行う。大英博物館をはじめ、フランスのルーブル美術館、米国のスミソニアン博物館など欧米の博物館では、キュレーターと呼ばれ、重要な役割を担っている。日本も同様であり、山本氏の発言は見識を疑う。
 この発言に対し安倍首相は「(山本氏が)謝罪し、撤回したと聞いている」と述べるにとどまっている。野党は「問題閣僚の一掃を目指す」「学芸員への侮辱で許されない暴言」などと非難した。当然の反応だ。安倍首相の任命責任が問われる。
 今月初めに今村復興相が、東京電力福島第1原発事故の自主避難者に対し「(避難先からの帰還を)どうするかは本人の責任」と述べて批判され、発言を一部撤回したばかりだ。今村氏は不服なら「裁判でも何でもやればいい」という部分は撤回せず、現職にとどまっている。
 復興政務官を兼任する務台俊介内閣府政務官は昨年、岩手県の台風被災地で長靴を持参せず、職員に背負われて水たまりを渡って批判を浴びた。この対応について今年3月「たぶん長靴業界は、だいぶもうかったんじゃないか」と発言し、辞任した。
 昨年11月には鶴保庸介沖縄担当相が、ヘリパッド建設現場での機動隊員による「土人」発言について、「差別」と認定した政府見解に反し「差別と断じることはできない」との見解を示した。
 いずれも半年以内に起きている。閣僚らのモラルハザード(倫理観の欠如)は深刻だ。国民に寄り添わない閣僚らで構成する長期政権は、独裁政治を招きかねない。