<社説>「特定秘密」廃棄 法自体を廃止すべきだ

 特定秘密保護法で「特定秘密」とされた行政文書を廃棄する手続きを内閣府が始めた。秘密文書は第三者のチェックに制約があり、廃棄が妥当かどうかを見極めるのは困難だ。政府にとって都合の悪い秘密文書が廃棄されてしまう可能性が高い。

 今後、国民に知らしめるべき文書が闇へ葬られる危険がある。国民主権の基盤となる「知る権利」に真っ向から反する悪法は廃止すべきだ。
 秘密法は運用基準で、特定秘密の指定期間が30年以下の場合、保存期間が過ぎた文書を国立公文書館などに移すか廃棄しなければならないと規定している。
 内閣府は各省庁から文書目録の提供を受け、「行政文書管理ガイドライン」に沿って廃棄が妥当かを点検する。
 しかし目録は秘密の内容が分からないようタイトルを付けることになっており、内閣府が文書の重要度を適正に判断できるか疑問だ。さらに文書を作った省庁側は秘密保持を理由に閲覧を拒否することもできる。
 廃棄が適切だったかを検証・監察する「独立公文書管理監」も内閣府内に置かれているが、その方法は明らかになっていない。これで秘密文書の適切な管理ができるとは到底認められない。
 政府はこれまでにも自らに不都合な文書を隠してきた。沖縄返還で米側が負担すべき原状回復費400万ドルを日本側が肩代わりした沖縄返還密約事件では、密約を示す外務省の電信文を入手した毎日新聞の西山太吉記者を起訴した。
 2000年に米公文書館で密約を裏付ける文書が見つかり、民主党政権下では外務省の有識者委員会が密約を認めた。しかし国は10年の東京地裁の開示命令にもかかわらず「文書不存在」として文書を出さず、今日まで密約の存在を認めていない。
 秘密法は成立段階から「何が秘密かすら秘密」といわれるほど、対象が曖昧である。情報の管理や廃棄に関する権限も、情報を持つ側の「身内」である官僚組織が多くを担い、点検にも限界がある。
 14年12月の法施行から約2年半で改めて制度の不備が見えてきた。「全ての情報に接近できる独立した監視機関」設置を求める国際原則(ツワネ原則)からも逸脱する、国際標準に達しない法だ。やはり廃止するしかない。