<社説>警察官不祥事続発 信頼回復へ手だて尽くせ


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 16歳の少女にみだらな行為をしたとして26歳の糸満署の巡査長が逮捕された。4月以降、沖縄県警の警察官の事件、不祥事が相次いでいる。信頼回復は容易ではない。改めて緩みがないか体質的な問題がないかを検証し、再発防止策を講じるよう求めたい。

 4月には宮古島署の巡査部長が酒気帯び運転で摘発された。5月には宜野湾署の後輩警察官らに飲食代などの支払いを強要したとして2人の巡査部長が処分を受けた。酒気帯び運転は、取り締まるべき立場の警察官が決してやってはならないことである。ましてや未成年者が被害者となる行為は言語道断だ。
 その中で、宜野湾署の事件は特異だ。2014年から3年間、2人のうち1人の名前を冠した「軍団」を組織し、7人の後輩にキャバクラでの飲食代やタクシー代など100万円以上を支払わせていた。まるで不良少年グループだ。
 被害届が出ていないという事情もあり恐喝・強要では立件されず、糸満署に今年異動した1人が、後輩を殴るなどしたとして暴行容疑で書類送検された。
 「軍団」に名を冠したもう1人は、別件の器物損壊容疑で送検された。さらに一般女性の犯罪歴や車両情報を照会するなど警察官の地位を悪用した行為も明らかになった。県個人情報保護条例違反だが、これは時効で立件されなかった。
 「軍団」内の恐喝・強要が長期にわたったことも問題だ。被害者である後輩たちが声を上げられなかったからだ。指揮命令系統が絶対の警察組織の特性が、声を上げにくい土壌をつくっているのではないか。
 全国の警察官の懲戒処分の数は10年から急増して12年に400人を超えた。その後は減少傾向にあり、16年は266人だった。ただし、免職は前年より4人増の39人、次いで停職は16人増の60人だった。重い処分が増えていることは悪質な事例が増えていることを示している。
 違法行為を行う警察官はごく少数であろう。背景に警察組織の体質があると言い切ることはできない。しかし、警察官としてあってはならないことが続くことは看過できない。改めて、個々人が使命感と健全な人権意識を持つよう組織の在り方を省みる必要があるのではないか。事件を二度と起こさないよう手だてを尽くすべきである。