<社説>10連休の観光対応 リピーター増やす好機だ


社会
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 観光を基幹産業とする沖縄にとって千載一遇の好機だ。

 ゴールデンウイーク期間(4月26日~5月6日)に沖縄発着路線を予約した人数は国内航空6社で前年同期比2割増の約59万人に上った。公休日の数が増え10連休となったことで前年同期間を約10万人も上回り、沖縄向け路線はほぼ満席だ。連休を沖縄で過ごす人々によって例年以上に混雑する見通しだ。
 ホテルなどの予約も殺到している。10連休中、沖縄の宿泊施設の満室率は、国内有数の観光地である京都府を抑えて全国トップだ。那覇市では宿泊料金が連休2週間前より最大2・22倍に高騰するなど、沖縄旅行の人気の高さを示している。県民はかつて経験したことのない規模の観光客をこの連休で迎えることになる。
 今回沖縄を訪れる人々の多くは連休を活用した国内旅行者とみられる。国内旅行者は好調な沖縄観光を支えている柱だ。その数は増えているが、伸びしろはまだ十分にある。
 沖縄観光コンベンションビューローの調査によると、沖縄旅行の未経験者は全国で約1200万人もいる。沖縄旅行を3年以上していない人も約1150万人おり、これらの人々は沖縄を訪れる潜在的可能性を秘めた層だ。この層を中心に、いかに誘客するかが、沖縄観光飛躍の鍵を握る。
 今回の10連休は、新天皇が即位する5月1日を今年に限り祝日とする特別法によって実現した。祝日法が定められた1948年以降最も長く、今年限りの大型連休とあって、全国的に観光需要の高まりが見込まれている。その中で沖縄にこれだけ多くの人々が訪れるというのは朗報だ。
 その人々の中には初めて来る人や数年ぶりの人もいるだろう。旅行者にとって満足のいくサービスを提供したり、沖縄の魅力を存分に伝えたりすることで、リピーターを増やす好機にしたい。成功すれば、現在年間約980万人の観光客を、県が掲げる1200万人に増やす目標を達成できる日は近いに違いない。
 課題も多い。今回の連休でレンタカーは飽和状態だ。新たに建設が進むホテルも需要に追い付いていない。交通渋滞への対策として交通インフラの整備は不可欠だ。建設中の那覇空港第2滑走路は20年3月に供用を開始しても発着数は現状の1・13倍しか増えない。米軍嘉手納基地の進入経路や自衛隊機の使用増加が要因だ。政府は飛行経路を見直すことで想定する発着回数を増やす方針だが、軍事優先の状態を改める必要がある。
 最も深刻なのは、客にサービスを提供する肝心の人材が不足している。人材確保は焦眉の課題といえる。観光客1人当たりの消費額を増やす工夫も求められている。
 10連休はその他の課題も改めて点検し、一層きめ細やかなサービスにつなげる機会にしたい。官民、県民が一体となってホスピタリティー(もてなし)を実践する時だ。