新政権 普天間返還/閉鎖・県外へ踏みだせ 日米首脳は正面論議を

 民主党政権は「脱官僚主導」を掲げながら、米軍普天間飛行場の返還問題では官僚の思うがままに操られ続けた。自民党は、この3年半の官邸中枢や官僚機構の思考停止を反面教師としてほしい。

 私たちは民主党政権の3人の首相に対し、日米関係の劇的改善という大局観に立って、オバマ米大統領と交渉するよう繰り返し求めてきた。次期首相就任が確実視される安倍晋三自民党総裁にも同様な提起をしたい。今度こそ普天間返還の実現について、米大統領と真正面から向き合ってほしい。

改心必要な政権政党
 大多数の県民は普天間飛行場の県内移設に反対し、これに代わる解決策として県外・国外移設もしくは閉鎖・撤去を求めている。
 普天間をめぐっては「辺野古移設」の日米合意に執着する政府とこれに反対する沖縄の民意に大きな溝があり、政党も党中央と県連の間に大なり小なり温度差がある。
 自民党は政権公約で「固定化に対する沖縄の懸念を払拭(ふっしょく)するとともに、新たな負担を被(こうむ)る関係自治体には特別な配慮・施策を講じる」と記したが、普天間の移設先は触れなかった。県民の間では、自民党が辺野古移設の日米合意を沖縄に押し付けるのではないかという警戒感が依然、根強い。
 2009年衆院選で「辺野古移設」を容認した自民公認候補が全員落選したことを教訓に、今選挙で沖縄選挙区の4氏はそれぞれ「県外移設」を公約し、国場幸之助、比嘉奈津美、西銘恒三郎の3氏が小選挙区で、宮崎政久氏が九州比例区で当選を果たした。
 4氏は辺野古移設を求める政府、党本部と今後とも妥協せず、県民の総意を背景に政府、党中央の政策を変更させるべく、使命感を持って取り組んでほしい。
 自民の政権公約は普天間移設について具体的言及を避けた半面、辺野古移設の日米合意の実行を明示もしていない。この点は「辺野古ありき」の民主と異なり、自民は政策転換に一定の弾力性を持たせたと見ることも可能だ。
 1996年の普天間返還合意から16年の歳月が流れた。もはや思考停止の日米の官僚機構に任せず政治決着を図るべきではないか。自民党は、自らの政権復帰と2期目に入るオバマ米政権の人心一新を、普天間問題を仕切り直す千載一遇の好機として生かしてほしい。
 沖縄の要求には正当な理由がある。仲井真弘多知事ほか、県議会、41市町村の全首長、全議会が辺野古移設に反対し、日米合意は民主的手続きによって政策としての正統性を失っている。

正しい権力行使
 米国でも辺野古移設に懐疑的な意見が広がっている。知日派のマイク・モチヅキ米ジョージワシントン大教授とマイケル・オハンロンブルッキングズ研究所上級研究員が昨年11月、共同で「日本での米軍基地計画の再考を」との論考を発表。辺野古移設について、仲井真知事や稲嶺進名護市長の反対姿勢を踏まえて実現性に疑問を示し、沖縄に前方展開する海兵隊員8千人の移転先をグアムではなく米カリフォルニア州に置く「後方展開論」を提起した。
 米民主党の重鎮バーニー・フランク下院議員が今年初め、山内徳信参院議員ら沖縄からの要請団に対し「第2次世界大戦は67年前に終わったのに、なぜまだ海兵隊が沖縄に駐留しているのか。これ以上駐留すべきでない」と断じ、防衛省が強調する在沖海兵隊の抑止力を「中国への懸念はあるが、それに対応するのは空軍や海軍」と、否定したのも記憶に新しい。
 自民党は、沖縄に基地の過重負担を強いることが「構造的差別」だということを認識してほしい。「古い自民党」との決別の証しとして、普天間の県外・国外移設、閉鎖・撤去を真剣に検討すべきだ。住民の人命、人権を脅かしているオスプレイも当然、撤退すべきだ。
 自民党は、この国の民主主義を進化させるべく、権力を正しく行使してもらいたい。