韓米地位協定 政府は恥ずかしくないか

 主権国家とはいかにあるべきか、あらためて隣国に教えられた。韓国駐留の米軍人・軍属・家族の犯罪容疑者について、韓国と米国が、12種の犯罪では起訴前に身柄を韓国側に引き渡せるよう規定を改めていたことが分かった。

 粘り強い交渉の結果だ。屈辱的な治外法権は許さないという韓国側の強い意思がうかがえる。自国の被害者をよそに米国に遠慮してばかりの日本政府は恥ずかしくないのか。
 政府は「日米地位協定は他の協定に比べ最も有利」と称していたが、その論理は完全に崩れた。韓国の主権国家としての自負心を見習うべきだ。早急に日米地位協定改定を提起してもらいたい。
 韓米地位協定は1967年の制定だ。当初は韓国側が自動的に刑事裁判権を放棄すると規定していたが、91年に新協定を結び、放棄の規定を削除した。
 95年からはさらに改正交渉を進め、01年に合意議事録を結んだ。12種の犯罪で身柄の引き渡し時期を判決後から起訴時に改め、要請があれば起訴前でも可能とした。
 12種には殺人、強姦や誘拐、放火、強盗のほか、薬物取引やこれらの未遂犯まで含まれる。飲酒運転による死亡事故もだ。
 引き渡し対象に殺人と強姦しか記していない日米間の規定より有利だ。それでも欠陥があった。「引き渡し後、24時間以内に起訴できなければ釈放する」という規定があり、事実上、引き渡しを不可能にしていたからだ。だが今年5月、韓米は運用改善で合意し、「24時間」の制限を撤廃した。
 身柄引き渡しは何もリンチをするためではない。米側が拘束すると言っても基地内で自由に動き回れる例が多く、証拠隠滅や口裏合わせがいくらでも可能で、犯罪者が罰を逃れかねないからだ。
 03年に宜野湾であった強盗では容疑者米兵の上司が口裏合わせの可能性を認めた。結果、犯人は3人組なのに2人しか起訴できなかった。強姦容疑で禁足処分を受けていた米兵が嘉手納基地から本国に逃げたこともある。現状の欠陥は明らかだ。
 韓米間の交渉は何度も決裂を繰り返した。それでも結実したのは韓国世論の強い後押しがあったからだ。米兵事件が沖縄一県に集中し、地域問題に押し込められて国民全体の世論が高まらない日本とは対照的だ。その意味でも米軍基地の沖縄偏在は改めるべきだ。