日米首脳会談 犠牲強いる“同盟”は幻想

 安倍晋三首相がワシントンでオバマ米大統領と初めて会談した。環太平洋連携協定(TPP)や安全保障など幅広い分野で連携を確認したことを受け、首相は「緊密な日米同盟が完全に復活した」と宣言した。

 しかしながら、県民が最も関心を寄せる米軍普天間飛行場の返還・移設問題については、またしても“空手形”が振り出されたと、深く嘆息せざるを得ない。
 焦点だったTPPに関しては、共同声明が発表され「一方的に全ての関税を撤廃する約束を求められるものではない」と明記。日本が交渉参加の前提とした関税撤廃の「例外」を認めた。
 一方で声明は「全ての物品が交渉の対象」とする基本原則を真っ先に掲げており、日本の交渉参加を促すための妥協の産物であることは疑いようがない。
 安倍首相は「なるべく早い時期に決断したい」と前のめりの姿勢をあらわにしたが、日本が高い関税を課しているコメなど農産品の「聖域」を保証するものではないことを肝に銘じる必要がある。
 そもそも自民党のTPP反対派議連には200人以上が名を連ねるなど抵抗は根強い。首相は、TPP参加で想定される利点や不利益を洗いざらいにし、対処法も明示するなど、国民への説明責任を最優先すべきだ。国内論議を置き去りにして、軽々に交渉参加を表明すべきではない。
 懸案の普天間問題で両首脳は、名護市辺野古移設の推進方針で一致した。だが、県内移設は知事が事実上不可能との立場を鮮明にし、県内全41市町村長が明確に反対している。日米合意自体が有名無実化している現実を、両首脳はいいかげん直視すべきだ。
 首相の日米同盟復活宣言は、基地の過重負担の軽減を切望する県民からすれば、対米追従路線の拡充・強化としか映らない。長年にわたって沖縄が強いられている構造的差別を解消する方向に直ちにかじを切ってもらいたい。
 首脳会談で、辺野古の埋め立て申請時期に触れなかったことが、沖縄に対する免罪符になると考えているとすれば、思い違いも甚だしい。日米安全保障体制が沖縄の犠牲の上に成り立っている状況を抜本的に改善しない限り、日米関係の強化も完全復活も、幻想にすぎないと自覚すべきだ。

英文へ→U.S.-Japan Summit Alliance that forces sacrifices on Okinawa is an illusion