那覇空港閉鎖 民間専用化と増設急げ


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 自衛隊と民間機が共用する那覇空港に付きまとう欠陥があらためて鮮明になった。

 航空自衛隊那覇基地所属のF15戦闘機が着陸時にパンクし、滑走路が閉鎖された。空のダイヤは大幅に乱れ、少なくとも15便、約2200人の足に悪影響が出た。
 安全で安定した運用を実現するには、早急に二つのことを成し遂げねばならない。民間専用化と第2滑走路の整備である。自衛隊は事故原因の調査を尽くし、二度とこうした事態を招いてはならない。
 突然、降り立つはずだった那覇空港に着陸できなくなり、3便が米軍の嘉手納基地に着陸した。3時間半も機内で過ごした乗客の疲労感は相当なものだろう。
 多くの観光客が利用する民間機が、米軍基地への着陸を強いられたり、遠く離れた別の空港に行き先を変更されたりする事態は異常だ。豊かな自然と文化を堪能するはずの観光気分に水を差し、沖縄のイメージを損ないかねない。
 那覇空港を発着する民間航空機の年間乗客数は、2010年度で1422万人を超え、国内約90空港でトップ5に入る。羽田、成田、新千歳、福岡に次ぐ基幹空港になって久しい。格安航空会社(LCC)の沖縄路線参入でさらに過密状態となっており、富裕層を視野に入れ、アジアの観光地と競い合う形で国際便も増えている。
 那覇空港を使う自衛隊機をめぐっては、1985年に着陸直後の全日空機に、離陸体勢に入った空自機が接触し、エンジン下部をもぎ取った。あわや人命に関わりかねない重大事故だった。
 その後もパンクなどによる滑走路閉鎖が後を絶たない。
 一方、領空侵犯などに対する空自機の緊急発進(スクランブル)で、長い時には20~30分近く待たされる事態も常態化している。乗客がいらだちを客室乗務員にぶつける光景も目にする。
 空港施設自体が手狭になった上、国際貨物便も含めた就航便は伸びている。もはや、1本しかない滑走路を、軍民共用することは誰の目から見ても限界に達している。
 那覇空港の滑走路増設を求める声は沖縄の官民を挙げた運動になっている。政府は民間空港専用化に向けた踏み込んだ論議を尽くしつつ、空の玄関口の安全性と利便性を万全にするため、第2滑走路の早期着工に臨むべきだ。