基地返還・統合計画 沖縄だけの犠牲は限界だ 詐術に等しい「負担軽減」

 これはまさに「沖縄の基地負担温存政策」ではないか。県外に行く基地は一つもない。沖縄だけを犠牲にする政策がもはや限界だと、なぜ気付かないのか。

 日米両政府が嘉手納基地より南の5基地の返還・統合計画を発表したが、5基地返還は2005年に合意したことで、今回はその時期を示したにすぎない。それを、さも安倍政権が努力した「負担軽減」であるかのように言いはやすのは、経緯を知らない国内世論向けの印象操作だ。詐術に等しい。
 沖縄だけに基地を押し込める方策は過去何回も頓挫してきた。政府は過去の失敗に学ぶべきだ。

遊休化との矛盾

 計画を見ると、首をかしげざるを得ない点があまりにも多い。
 牧港補給地区の返還は、各軍の倉庫を嘉手納弾薬庫やトリイ基地、キャンプ・ハンセンに移すのが条件だ。3基地への倉庫新設は基地拡充そのものではないか。
 那覇軍港の返還時期は「2028年度またはその後」だ。ほとんど使われず遊休化した基地を返すのに、なぜ15年もかかるのか。
 キャンプ桑江は海軍病院移設が条件だが、病院は既に移設して稼働している。今すぐ返還できるはずだが、なぜ2025年度以後か。キャンプ瑞慶覧の一部など、こうした例はほかにも枚挙にいとまがない。しかも、ほとんどが「○○年度またはその後」という留保付きである。これでは返還計画どころか、返還延期計画だ。
 米上院のカール・レビン軍事委員長は先月、米公共放送局の番組で在外米軍の縮小を主張した。「特に太平洋地域、とりわけ沖縄」と名指しして兵員を本国に戻すよう求めている。
 大規模な水陸両用戦を展開する旧来型の海兵隊の存在意義は既に薄れたと言われて久しい。軍事技術の発達で緊急展開能力は格段に向上した。海兵隊は本国に常駐し、紛争に応じて装備・兵員を編成して急派する小規模紛争専門となることも十分あり得る。米国の深刻な財政難を考えれば、なおさらだ。
 そんな時代に、米国の有力者ですら必要ないという兵員をなぜ新基地を造ってまでわざわざ沖縄にくぎ付けにするのか。理解できない。
 肝心の普天間飛行場も返還が「2022年度以降」と先延ばしになった。1996年のSACO(日米特別行動委)合意で2003年返還の予定だった基地だ。それが06年の米軍再編で14年に延期し、今回さらに延期した。まして県内移設条件付きである。許しがたい犠牲強要と言うほかない。

「本土並み」の幻

 在沖米軍基地の縮小論議はそもそも、日本本土と沖縄の取り扱いの違いが出発点だった。
 沖縄を米軍の占領統治に差し出していた間に本土の基地は大幅に減り、沖縄へ基地が集中した。海兵隊が移転してきたのが一例だ。
 その上、1968年のいわゆる「関東計画」で首都圏の米軍基地は横田に集約された。1972年の本土復帰以後だけを見ても、本土では約59%も整理縮小が進んだのに、沖縄では19%にとどまっている。「核抜き本土並み」だったはずが、復帰後ですら本土並みではないのだ。
 こうした違いを沖縄側が訴えた結果がSACO合意だったが、普天間も牧港補給地区も那覇軍港も、県内移設の条件がネックになって実現していない。
 安倍政権は閣僚来県や振興策提示など、1997年ごろの「成功体験」を露骨に模倣しているが、過去と今の決定的違いに気付いていない。沖縄は既に、沖縄だけを犠牲にする基地政策は差別そのものだと知っている。もはや差別を甘受する地点には戻れないのだ。
 過去、知事が県内移設に合意した一時期ですら、県内の世論調査で移設反対が過半数を割ったことは一度もない。県内移設にこだわる限り、返還は実現しない。政府はその点からこそ教訓をくみ取るべきだ。

英文へ→[Editorial] Consolidation Plan for U.S. bases Governments saying that they will “reduce the burden of bases on Okinawa,” is tantamount to an act of deception



琉球新報