<社説>工事着手知事発言 「人ごと」扱いは無責任だ

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた海底ボーリング調査のための浮標灯(ブイ)と浮具(フロート)の設置作業を始めた。

 昨年12月と今年4月の世論調査ではいずれも74%の県民が辺野古移設に反対と答えている。圧倒的大多数の民意を無視してなされた作業強行は、沖縄の民意を踏みにじる暴挙だ。断じて許されない。政府は直ちに作業を中止し、11月の知事選であらためて民意を問うべきだ。
 一方、作業着手について見解を求められた仲井真弘多知事は14日、「作業の一つ一つを僕に聞かれてもどうにもならない」と述べた。まるで人ごとのようだ。
 だが、作業が加速したのは知事が防衛局の埋め立て申請を承認したからではないか。知事自身がこの事態を招いた最大の当事者だ。
 見解を示さない態度に対し、15日に記者団から「無責任との声もあるが」と問われると、今度は「何で責任があるのか」と強い憤りを示した。あきれるほかない。
 そもそも、県民にとっての重大事について回答を避けるのは、県民の生命を守る最高責任者としてあまりに無責任であろう。
 14日には「せめてわれわれが香港に何しに行くのかぐらい取材してほしい」とも述べている。辺野古埋め立てよりも、香港との連携協定という知事選向けの自身の宣伝材料を報じてほしい、ということなのか。違和感を禁じ得ない。
 仲井真氏は2010年の知事選で普天間の「県外移設」を公約に掲げて再選を果たした。埋め立て承認後の会見では「県外移設の公約を変えたつもりはない」と強弁して失笑を買った。
 ところが今では辺野古移設を推進する姿勢すら見せている。今月初めの会見では「普天間問題は解決に向かって動き始めている」と述べ、国による辺野古移設を手放しで評価する姿勢を示した。知事選の出馬会見でも「政府案は遅いとか非現実的というものではなくなってきつつある」と述べ、移設を評価すらしているのだ。県民の代表というより、政府の代弁者へと変節しているとしか思えない。
 防衛局は17日にも海底ボーリング調査に着手する。仲井真氏は民意無視で進む移設作業について、自身の責任と見解を自分の口で県民に語る必要がある。人ごとのような態度は決して許されない。