<社説>再生エネ見直し 「原発回帰」は許されない

 政府は太陽光の発電抑制を柱とする再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の抜本見直し策を決めた。

 東京電力福島第1原発事故から3年9カ月。再生エネは脱原発の切り札として期待された。わずか2年で政策転換する理由は何か。再生エネを普及させる道はいくらでもあるはずだ。
 衆院選で原発・エネルギー政策は踏み込んだ議論にならなかった。自公で3分の2以上の議席を獲得した途端、安倍晋三首相は原発再稼働を急ぎ「この道しかない」とばかりに原発回帰を鮮明にしている。脱原発を求める多くの国民の声に耳を傾けない姿勢は数のおごりだ。時計の針を逆戻りさせてはならない。
 太陽光発電は出力が大きく変動する。電力会社は電気の周波数や電圧が乱れて電気の品質が悪くならないように、接続可能量に上限を設定している。
 だが別の道はある。ドイツは総電力の25%を再生エネが占める。太陽光と風力が中心だ。例えば再生エネの出力変動を調整する際、石炭火力より出力を柔軟に変えられるガス火力を使っている。先進事例を学べばいい。
 他にも道はある。揚水発電だ。電力に余裕があるときにポンプを使って標高の高い場所に水をくみ上げ、電力が不足した時、ためた水を標高の低い場所に流して水車を回して発電する。国内に40カ所以上あり、総出力は2600万キロワットと世界最大規模だ。しかし昨年は3%しか利用されていない。この「巨大蓄電池」を活用すればよい。
 蓄電池をうまく使う道もある。電力系統への接続を昼夜に分け、昼間発電した一部を蓄電し、ためた分を夜間売電する方法だ。
 太陽光に後ろ向きなら、さらに別の道がある。デンマークは2010年までの30年間に再生エネの割合を3%から20・2%までに伸ばした。再生エネの7割がバイオマス、2割が風力だ。太陽光は0・5%にすぎない。バイオマスや風力などの比率を高めることは十分可能だろう。
 このように道はいろいろある。当初の制度設計に不備があれば、持続可能なように前向きに見直せばいい。今回の制度見直しで電力会社が再生エネ事業者に発電量の抑制をしやすくした。これでは再生エネの導入機運は後退する。原発再稼働を望む電力会社の思惑に従えば国益を損ねてしまう。